長編シリーズ

□プロローグ
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夜風が冷たい夜。

ゼストはアジトの近くの海辺を歩いていた。

理由は、なんとなく寝付けないからだ。

ルーテシアらはとうに眠ったが何故かゼストは眠れなかった。

ただ砂浜を黙々と歩く。

(…………戻るか)

そろそろアジトに戻ろうとした時

(…………あれは)

人が一人、うつぶせに倒れていた。

ほとんど夜に目立たないくろぽっい服装なのに見つけられたのは偶然だろう。

「ほおっておく訳にもあるまい……」









「……で、見ず知らずの人を拾ってきて私に治療しろというのかい?騎士ゼスト」

「すまないな」

スカリエッティはラボで先程ゼストが拾ってきた人の治療にあたっていた。

「まぁ、いいさ。
後は私に任せて今日は休むといい。」

「……あぁ。そうさせてもらう。」

そういってゼストは部屋からでていった。

と、入れ替わりにウーノがはいってくる。

「すみません、遅れました。」

「いや、構わないよ。」

「しかし、何故このような古い本を……?」

「少し気になる事があってね……」

「気になる事?
もしかしてあの少年の事ですか?」


そういってウーノは手短な所に本を置く。

「先程、簡易的な検査を行ったのだがね。

まず倒れていた原因は疲労と栄養失調、それと体温の低下によるものだ。

後、脳に若干おかしい部分がみられる。おそらく岩か何かに頭をぶつけたんだろう。起きたときの後遺症が気になるね


本題はこれからだ。

機械による結果が、おもしろい」

「おもしろい?」

「あぁ、そうだとも。

この研究所の機材は管理局のものにも引けを取らないと思っている。
いや事実だろう。


――その機械でさえ、精密な体構成がわからなかったんだから」

「え?」

ウーノは思わず声を上げた。
確かにここの機材はどれも高性能だ。
それでいて判明できないというのだ

「いくら簡易検査とはいえ、体構成の6割がわからなかった。

更にいえば、魔力の反応はあるのにリンカーコアが見当たらない。

極めつけがこれだ」

そういって机の上に銀色のペンケースのようなものを置く。

「なんですか?」

「服のポケットにはいっていたものだ。材質不明、内部スキャンもできない正に謎の物体だよ」


「………………」

「さて、ウーノ。
君の意見を聞きたい

――この少年をどう思う?」

「……現状ではなんとも。
但し、明らかに人の手が加わっています。
おそらく、別の組織が作った物だと思われます。
精密検査の結果次第では」

「処分したほうがいい、と?」

「はい。」

「……まぁ、全ては少年が目を覚ましてから決めるとしよう。

ウーノ、君ももうお休み」

「……わかりました、お休みなさい。ドクター。」
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