長編シリーズ

□アリスの日常〜一日目〜
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「結果はこの通りです。ドクター」

「…………」

「……ドクター?」

「アリスは今どこに?」

「今は外に待たせていますが?」

「少し、呼んできてくれたまえ」

「? わかりました」





「……よんだ?」

「あぁ、呼んだとも。
君に二つプレゼントしておきたくてね
まずは、これだ」


つ【図解つき!百貨事典】
つ【簡単!よゐこの機械の操作マニュアル!】


「……これは?」

「なに、いつまでも常識が欠落したままだと逆にこちらが困るのでね。
それらを読めばある程度はいくらか補完できると思ってね
……次はこれだ」

「これは……、私達が着てる服に似てますね」

「アリスのためにつくった特注品だ。着方を書いた紙があるから、それを参考にしてくれたまえ。
あとそれに部屋の番号が書いてあるから大事にするといい」

「……わかった」

「では、悪いけれど部屋に戻ってくれるかな?
今日は少し忙しいのでね」

「……お礼」

「わかるのかい?」

「まだわかんない……」

「では、それで調べて暇な時でもきなさい」

「わかった」







「今日のテストでわかったことがある」

「なんですか?」


「いくら魔法を使ってなくて、君たちが本気をだしていないとは言え、先日まで衰弱しきって倒れていた人物がいきなり彼女たちに身体能力が勝っていると言うのかね?」

「確かに……」

「勝てる条件はいくつかある。

まず君たちがよほどの手加減をしていた」

「それは流石にないですね……」

「次は彼が魔法を使っていた」

「でも、魔力は感知されませんでしたからこれも違いますね」

「最後に今まで肉体のレベルが、今日とは比較にならない程高かった」

「まさか。
彼の体骨格からして今日以上の結果は考えにくいです」

「肉体の細胞レベルで強化されていたとしたら?」

「あ……」

「主に解析不能な物質は腕、脚の筋肉、心臓に特に集中していた。

まず間違いなく彼は肉体を強化、しかも戦闘用に強化されていたと見ていいだろう」

「問題は何故彼が倒れていたか、ですね」

「それは流石にわからないがね。
一応スパイの可能性も考慮して彼のスーツには発信機と、内側からの電波の類を遮断する機能をつけておいた

後、あの手のタイプは精神系統がナイーヴに製造、あるいは調整されている可能性が高い。
感情の高ぶりが何かしらの暴走をする危険性は充分あるからね。

メンタルチェックは欠かさず、なおかつ気を配ってくれ」

「わかりました」













「アリスじゃないか」

「……」

「自己紹介がまだだったな。
私の名前はトーレだ。
ところでその服は……」

「ドクターにもらった……」

「着心地は、どうだ?」

「ピッタリして、冷たくて気持ちいい……」

「そうか。
そういえば自分の部屋の場所は?」

「わからない……」

「急いでるのに、弱ったな……」

「あれ、トーレ姉にアリス?」

「セイン……となんだ、ウェンディもいたのか」

「そりゃ酷いッスよ〜」

「すまん。
実はアリスが道に迷ってしまってな……」

「じゃあ、あたし達が教えとくから。」

「悪いな、それでは」

「んじゃ、行こっかアリス?」

「ん……」

「そういえば、なんでアリスはそんな格好?」

「……コスプレッスか?」

「ドクターからもらった……
……コスプレ?」

「ん?なんでもないなんでもない」

「しかし、こうまで手がかかると……」

「かかると?」

「まるで弟みたいッスね!」

「…………まさかさっきからテンションが高かったのって……」

「いや〜。下に頼られる姉ってなんか憧れないッスか?」


「まぁ、あたしたちは下の方だし、ディード達はあんまり頼らないしね。わからなくはないけど……」

「今まで、あんまり深く感じた事なかったッスけど、こう、なんて言うんか、保護欲、スか?
ほら、『全く!私がいないと〜』みたいな!」

「あ〜、わかるわかる!」

「ほんとは妹でもいいんスけど、弟だとまた違った形が……」

「……弟って?」

「妹の男バージョンッス!」

「……ウェンディ姉さん?」

「……コレがチンク姉たちが感じてる感覚っスか……」

「確かに悪くはないわね……」

「……?」

「ううん、なんでもない。
さっ、行こっか?」

「……うん」
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