長編シリーズ

□覚醒〜The Rouse〜
後編
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「……以下管理局所属24名の殉職を確認しました」

「……ありがとな、グリフィス。
エリオは?」

「発見当初はかなり錯乱恐慌状態ですが、今は大丈夫です。
本人からも、もう大丈夫だと言っているようです」

「とりあえずは大丈夫、か」

「なお、この男はナンバーズにも襲撃をかけていたようです。」

「あまり前やね…。ナンバーズ側の遺体は?」

「確認されていません。恐らく、迎撃したかと」

「……状況は?」

「……今はまだ何とも。
あちらからの出方次第、ですね」

「……全課、本部にこの男の情報を回したって。場合によっては強攻策も辞さないと付け加えて」

「わかりました。」












「何で撤退命令をだした!」

「聖王は別の組織に渡った。そこから追撃に向かうは不可能じゃろうて
一目につきすぎるのも問題じゃ」

「……次はどうする」

「反応があり次第追撃を再開するかの
それよりお主ともあろうものが、また随分と汚れてきおったな?
匍匐前進でもしておったか?」

「……やられたんだよ
本気を出した所をてめぇにひきはがされた」

「先程からの不機嫌はその性かの……
まぁ、準備は万端にの」















「…………」

「起きたか……」

「……チンク姉さん。その体は?」

「人の事より自分の心配をしろ。
――姉の怪我は酷くない。」

「……何でここで寝てるの?」

「覚えてないのか?」

「……頭のなかぐちゃぐちゃする」

「……どこまで覚えてる?」

「……ディエチ姉さんを庇った所ぐらい」

「お前はあの後倒れた、らしい。
今は極度の疲労で寝かせてたんだ」

「……みんなは?」

「……行ったよ。姉達は留守番だ」

「セッテ姉さんは?」

「お前が早い段階で阻止したらしいから大丈夫だそうだ
ディエチも無事だぞ?」

「…………」

「……アリス?」

「…………」

「……泣いてるのか、アリス?」

「……恐かった」

「ん?」

「……あの時、姉さん達がいなくなったらって考えたら、頭の中ぞっとして、今、姉さんをみたときも、なんか恐くなって、あいつはいないのに、体の震えが止まんなくて……」

「……泣くな、アリス」

「……だって」

「大丈夫だ。姉達は勝手にいなくなったりしない。
だから落ち着け」

「……本当?」

「本当だとも。
だからアリスも勝手にいなくなるんじゃないぞ?」


「……うん」

「……もう大丈夫か?」

「……大丈夫」

「まだ、疲れてるだろう?もう少し寝てろ」

「……寝るから」

「ん?」

「手、握っててもいい?」

「あぁ、姉が握っててやるから。」

「……ん」






「やれやれ。これじゃ本当に姉弟だな……」
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