終焉之唄
□邪乱無導
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どれくらい時が経っただろうか。
屍の中、起き上がった人形はたった数体。闇に浮かぶ蝋燭の光に照らされて、羽夜は愛しげにそれを鑑賞していた。
薄闇の中に点々と出来上がった赤い水溜まりが全ての光を飲み込むように黒く変色していく。
「わらわが望むは混沌。希望などいらぬ。希望にすがる人間もいらぬ。イカれた狂人共がはびこる無の世界。そこにあるのは絶望のみ。狂え、狂え。悲痛な叫びをわらわにもっと……! ふふ……ははは、アハハハハハハハ!!」
教壇に寄りかかって、羽夜はただただ狂ったように笑い続けた。衝撃で転げ落ちた蝋燭の灯は消え、辺りを闇が支配する。覇気のない子ども達の表情、その心にも既に光は灯っていないのだろう。
差しのべられた手は混沌へと向かう第一歩で。一筋の光さえ、一瞬のまやかしにすぎなかった。
邪に乱れて、無へと導く。
今、終わりから初めよう――