姫さまを捜せ!

□第5話
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 街がざわめきに満ちている。その中でメルシィとアスカは二人寄り添いながらゆっくりと歩いていた。

「メルシィ、これからどこへ行く? ここにいたらきっとお前を連れ戻しに城の連中がやってくるだろうし」

 アスカが口を開く。その言葉は市場に飛び交う騒がしい声にかき消され、隣にいるメルシィにしか聞こえていない。

「そうね……。どこか遠く、ずっとあなたと一緒にいられる場所がいいわ」

 メルシィがアスカの顔を見上げ、慈愛に満ちた微笑みを向けた。

「そう、だな。でも……」

 僅かに表情を曇らせたアスカの横を、子ども達が歓声をあげながら走り抜けて行く。メルシィは黙ったままその顔を見つめていた。

「俺……自分で言うのもなんだけどさ、遊び人だろ? 旅に必要な資金とか、これから先もお前を支えてやれるかどうか……」

 そこでアスカは大きな溜め息をつく。
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