姫さまを捜せ!
□第6話
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「……あのう、こんな悠長なことしていていいんでしょうか?」
目の前に並べられた料理を見つめたまま、シュンは遠慮がちに呟いた。
「まあまあ、そんな気にしないで。俺の奢りだから」
パンを一口大にちぎって口に運びながらカイルが言う。
昼過ぎの小さな定食屋は客の数も少ない。その中で四人は隅のテーブルに座り、少し遅い昼食をとっていた。
「そういうことなら……すいませーん、野菜炒め一皿追加!」
ソルが厨房に向かって話しかけると、奥から若い女将の威勢のいい返答が返ってくる。
「腹が減っては戦はできぬって言うしね」
「副団長まで……」
シュンは盛られた料理に全く手をつけないまま、平然と食事を続ける三人を見つめていた。
「ぼ、僕、先に捜しに行ってますっ!」
我慢しきれなくなったのか、そう告げて勢いよく立ち上がり、出口に向かおうとする。
「おい、待てって。お前姫さまの居場所知ってんのか? あ、どーも」
運ばれてきた追加の野菜炒めを受取りながら、ソルがシュンを止めた。