姫さまを捜せ!
□第8話
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屋敷の中は、差し押さえられてしまったのか余計な家具などは一切なく広々としていた。
外観は不気味としか言いようのないものだったが、屋内はそうでもないらしい。
きちんと磨かれた床や窓ガラス、備え付けの棚には埃一つない。カーテンのない大きな窓からは外の明かりが差し込んでいた。
「……そうだよ、俺姫さま連れ戻しに何回かここに来たことあるじゃん。今まで何もなかったっつーの。何ビビってんだよ俺……。確かに見た目はアレだけど……」
窓を開け、新鮮な空気を室内に入れながら、ソルは少しでもカイルの嘘にひるんでしまった自分を激しく叱咤した。
「何だか……すぐにでも住めそうですねぇ」
すっかり落ち着きを取り戻したシュンが、部屋の中を見渡しながら呟いた。
「一応姫さまだからね。埃だらけの廃屋に居させるわけにはいかないでしょ? 定期的にメイドさん達が来て掃除してるんだよ。他の二つの空家もね」
シュンの疑問にリュウイが答える。
「国王の命令だからね」
リュウイの答えにカイルが補足した。
「こ、国王さま公認なんですね……。でもそんなだから姫さまがいつまでもこんなことを繰り返すのでは?」
「仕方ないよ。親バカなんだから」
「姫さまの言うことは何でも聞いちゃうんだからなあ」
「だからあんなワガママ姫が育つんだよ」
そう言って三人は同時に溜め息をついた。
「戦とはまた違った苦労があるんですね……」
シュンは苦笑いしながら近くにあった扉を開けてみた。
「あ!!」
次の瞬間、その場にいた全員が声をあげた。