姫さまを捜せ!

□第9話
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「あ、そうだわ。あの指輪、やっぱり返してもらった方が良いかしら」

 部屋を出て行こうとしたメルシィが、今までの空気を吹き飛ばすかのように言いふと足を止める。

「指輪……って、まさか」

 その言葉に反応したリュウイがメルシィの手を取り、その指をじっと見つめた。

「姫さま、まさかとは思いますが……」
「家出資金が必要だと思って質屋に預けちゃったの」

 必死に理性を保っているリュウイを不思議そうに見つめながら、メルシィは当たり前だと言わんばかりに答えた。

「質屋……。姫さま、あれは王位継承者だけが持つことを許される特別な指輪なんですよ……」

 怒る気力も失せたリュウイは、深い溜め息と共に諦めたように呟いた。

「そうだったの? ある日突然お父さまがくださったものだったから、そんなに価値があるとは思わなかったわ。あまりお金にもならなかったし」

 リュウイの言葉を聞いてもメルシィは全く動じることなく、ただ納得した素振りを見せただけだった。
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