姫さまを捜せ!
□第10話
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「平和だなぁ……」
確か昨日も同じことを言っていた気がする。
シュンは大あくびをしながらそんなことを思った。
城へ帰った後、カイルがアスカを連れてどこかへ行ってしまってから、シュンとソルは特にすることもなくなり自室で待機していることにした。
途中で指輪を取り戻してきたリュウイとメルシィに会ったが、その報告を聞いただけで解散した。
部屋へ着くとそのまますぐに眠ってしまったのでアスカがどうなったかはよく分からないが、一晩ゆっくり休み、次の朝目覚めた時にはいつもと変わらない平和な日常が戻ってきていた。
「お、シュン、いたいた!」
「ソルさん?」
自分の名を呼び近付いてくるソルの姿を見つけ、シュンは顔を向けた。
ソルはシュンが座っている隣に腰を下ろし、体全体で伸びをした。
大きな木の隙間から漏れる日光が、二人の顔に無数の小さな光の点を作る。
「あいつだけどさ」
掌を空にかざし、自分の腕に映る木漏れ日を見つめながらソルが呟いた。