姫さまを捜せ!
□第11話
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駆け落ち騒動から一ヶ月が経とうとしていた。
「えーっと、その白いのと……あとピンクの花が何かあればお願いします」
メルシィから頼まれたお使いメモと花壇の花を見比べながら、シュンは慣れたようにそう告げる。
あの日以来なぜかソルに代わり今度は自分が姫さまの『お気に入り』に抜擢されてしまった。日に日にそれが板についてきている気がして、シュンは複雑な心境で溜め息をついた。
「ほらよ、これくらいでいいか?」
「あ、はい!ありがとうございます」
綺麗に整えられた花束を受け取りながら、庭師の顔を見上げる。
そこには、どことなく活き活きとして見えるアスカがいた。彼もまた、その様子が板についてきている。
「なんだよ、人の顔ジロジロ見て」
「えっ、あ、いや、良かったなーと思って」
「うるせえな。お前には関係ないだろ」
睨まれながらも嬉しそうに笑うシュンを見て、アスカは決まりが悪そうに背を向けた。しかしその姿はただ単に照れ隠しのようにも見える。
「ちっとも良くねーよ!」
木陰に佇みながら、機嫌が悪そうにこちらを見ていたソルが叫んだ。