バッドエンド
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「お前! やっと見つけたぞ!」
一足先に火元を離れ、何事もなかったかのように平然と歩いていたミストを見つけたヴィックスが叫ぶ。
「なんだ、生きていたのか。残念だったな」
木々をかき分けて走ってきた盗賊達を見下しながらミストが言った。
「あんた……本当に最悪だな……」
「ありえねーよ、マジで……」
怒りを通り越して呆れながらレオンとシオンが溜め息混じりに言う。睨まれるのを恐れてか、小声で呟いただけだったが。
「あんまり長居はしてられねえな。もしかしたらここにも火が回ってくるかも……」
「あー!」
「なんだ、どうした?」
木の上から騒がしい声が降ってくる。ヴィックスが見上げると、ハルキが今来た方向を見ながら驚いた顔で叫んでいた。
「いや、なんかほら。火、消えていきますよ!」
全員の視線を一斉に浴びたハルキは、背伸びをして木々の向こうを指差す。
「消えた?」
下からではその様子が分からないヴィックス達は、お互い顔を見合わせた。
「お前何かしてくれたのか?」
「まさか」
「……だよな」
我関せず、といった顔で、全く興味のなさそうに答えるミスト。
「そんな冷たいこと言いながらも実は……とか」
「ないな」
「……ですよねぇ」
アレックスの問い掛けにもキッパリと答えた。