バッドエンド
□―*6*―
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木の葉がひとひら、二つに割れた。
「まだまだ!」
ヴィックスの叫びと共に兵士の剣が飛ぶ。
「甘いな」
寸分の隙もなくそこに襲いかかる風切り刃。ミストの放った魔術で周りにいた兵士達も見えない刃に飲み込まれた。
「すげーな。息ぴったりじゃん」
「カッコイイですね〜」
相変わらず攻撃をかわしつつ反撃もせずに逃げ惑っていたハルキとアレックスが感心しながら呟いた。少し離れた所ではレオンとシオンも同じようにその様子を見守っている。
「弱い者から狙うのがお前達のやり方だったな」
「へ?」
不意に、背後に気配を感じた。首筋に当たる冷たい感触。視線だけ動かすと、鈍色に光る鋭利な刃が僅かに見えた。
「わわわわハハハハルキさんどどどうしましょ」
隣りにいたアレックスも同じ状況に陥っているようだ。体を動かせる状態ではないため、情けない声しか聞こえないがその様子は容易に想像できた。
「し、仕方ねーな。こうなったら俺の本気を……うらあっ!!」
突き付けられた剣を物ともせずに突然振り返る。おとなしく硬直していたはずのハルキの大胆な行動に兵士達は僅かに怯んだ。その隙に兵士の顔面を力任せに殴り付け、隣りにいたアレックスを捕らえていた兵士にも体当たりを食らわせる。
「逃げるぞ!」
「逃げるんですか!」
「逃がすかっ!!」
一瞬優位に立ったにも関わらず、ハルキはアレックスの手を引き兵士達に背を向け全速力で走り出した。
兵士達もすぐにその後を追う。