バッドエンド

□―*8*―
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 道なき道をかき分けて盗賊達は走る。枝葉の擦れる音と彼らの荒い息遣いが静かな森に響き渡っていた。
 驚いた鳥達が飛び立つ音が遠くの空から聞こえる。

「こ、ここまで来れば大丈夫かあ?」

 太い木の幹に手をついて、呼吸を整えながらハルキが言う。一番最後に逃げて来たにも関わらず、いつの間にか先頭を一人全速力で走っていたようだ。後ろからは大分遅れて仲間達が同じように息を切らしてやってくる。

「つかお前速すぎ!」
「どんだけ体力余ってんだよ!」

 やっとのことで追いついたレオンとシオンが口々に抗議する。肩で息をしながらもハルキを囲んで捲し立てた。

「どうやら追ってこないみたいだな」

 仲間達を庇うように、最後尾を走っていたヴィックスが振り返る。耳を澄ませば木々の擦れる音が静かに流れている。その中に兵士達の気配はない。

「諦めてくれたみたいだな。お前ら皆無事か?」

 そう言って立ち止まり仲間達を見回す。
 先頭を走っていたハルキは重傷を負ったと大袈裟に騒いでいるようだか、かすり傷程度の軽傷だ。体力も余っているようだし大したことはない。
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