バッドエンド
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空が明るみ始めている。不気味な鳥の声はもう聞こえない。朝を告げる小鳥の鳴き声でミストは目を覚ました。
「……」
寝起きの頭を整理しながら辺りを見回す。心地良い寝息を立てながら盗賊達は眠っていた。
音を立てぬよう立ち上がり、その場を去ろうとした。これ以上、ここにいるわけにはいかない。そう言いたげな表情は少しだけ曇っていた。
「どこ行くんだ?」
不意に聞こえた声に足を止める。振り返ると、横になったままこちらを見ているヴィックスと目が合った。
「……世話になったな」
ヴィックスの質問には答えず、ミストは一言だけ告げる。
「へえ。ちゃんと礼言えるんだな」
からかうように笑いながら、ヴィックスは言った。ゆっくりと身体をお越し、眠そうにひとつ欠伸をしてから続ける。
「別に目的ないんだろ? だったら俺達と一緒に来りゃあいいじゃん」
「……」
小さくなった焚き火の音がよく聞こえる。次の言葉を探すように、ミストの視線が僅かに泳いだ。
「言っただろ? 最強の盗賊団を作るのが俺の夢だって。お前の魔術役立ちそうだし」
次の言葉を探すミストとは対照的に、ヴィックスは当たり前だと言わんばかりの清々しい表情だ。
「それに……」
少しだけ複雑そうに口元だけで笑うと、ヴィックスは昨晩騒ぎすぎたせいか、未だ泥のように眠る子分達に視線を移した。