姫さまを捜せ!

□第1話
2ページ/3ページ

 彼はシュンにとって先輩にあたり、入団以来よく気にかけてくれる、面倒みの良い兄的存在だった。

「相変わらずマヌケな顔してんな〜」

 ソルはそう言ってシュンの隣に腰を下ろす。

「だって……やることないんですもん。あれ、その花束なんですか?」

 隣に座ったソルの手には、小さいながらも綺麗な花束が握られていた。

「ああ、これか? 姫さまのパシリだよ」
「姫さま?」
「そ。部屋に飾る花が欲しいんだと。全く……完璧に騎士を私物化してるよな。まあ、今の平和なご時世、王国騎士なんてのは名前だけでただの雑用だから仕方ないけどさ」

 そう言ってソルは大げさに溜め息をついてみせた。

 そして、シュンの顔を見て何か企んだ笑みを浮かべ、思いついたように言った。

「お前さ、これ姫さまに届けてくれよ」
「えぇっ!? 僕がですか? で、でも僕みたいな新米が姫さまに……」

 有無を言わさず押し付けられた花束を、シュンは驚いて取り落としそうになった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ