姫さまを捜せ!
□第1話
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彼はシュンにとって先輩にあたり、入団以来よく気にかけてくれる、面倒みの良い兄的存在だった。
「相変わらずマヌケな顔してんな〜」
ソルはそう言ってシュンの隣に腰を下ろす。
「だって……やることないんですもん。あれ、その花束なんですか?」
隣に座ったソルの手には、小さいながらも綺麗な花束が握られていた。
「ああ、これか? 姫さまのパシリだよ」
「姫さま?」
「そ。部屋に飾る花が欲しいんだと。全く……完璧に騎士を私物化してるよな。まあ、今の平和なご時世、王国騎士なんてのは名前だけでただの雑用だから仕方ないけどさ」
そう言ってソルは大げさに溜め息をついてみせた。
そして、シュンの顔を見て何か企んだ笑みを浮かべ、思いついたように言った。
「お前さ、これ姫さまに届けてくれよ」
「えぇっ!? 僕がですか? で、でも僕みたいな新米が姫さまに……」
有無を言わさず押し付けられた花束を、シュンは驚いて取り落としそうになった。