姫さまを捜せ!
□第1話
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「新米だからこそ、姫さまに顔覚えてもらってこいよ」
「ソルさん……」
こんなにも自分のことを考えてくれる先輩が他にいるだろうか。そう思うと、シュンは胸の奥が熱くなった。
「ソルさん! 大好きですっ!!」
「うわっ、いいから早く行けって!」
感動のあまり勢いよく飛び付いてきたシュンを振り払ってソルは立ち上がった。
「じゃ、俺は城下町までサボ……じゃない、見回りに行ってくるから」
「はいっ、行ってらっしゃいです!」
シュンは花束をしっかり握り締め、背中を向けて歩きだしたソルに向かって言った。
ただ単に面倒臭い仕事を押し付けられただけ、ということに全く気付きもせずに。