姫さまを捜せ!
□第2話
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自分とは比べものにならないほどの広い部屋。
そこには何の人影もなく、ただ白いカーテンが開け放たれた窓から吹き込んでくる風に揺られていた。
「姫さまー……ん?」
遠慮がちに部屋へ入ってみると、部屋の隅にある机の上に、何か書かれた紙切れが置いてあった。
「何だこれ?」
それを手に取って、声に出して読んでみる。
「えっと、『真実の愛に目覚めたので、しばらく愛しい人と旅に出ようと思います。探さないでください』……これは、要するに……駆け落ち?」
一瞬思考が止まり、次の瞬間には全身から嫌な汗が吹き出していた。
「た、た、大変だあぁ──っ!!」
シュンは花束をその場に放り、紙切れだけを持って部屋から飛び出した。
「うわあああぁぁっ!」
半ばパニック状態に陥り、絶叫しながら廊下を走り回る。すれ違う人達が驚いて自分を見ているのにも構うことなく走り続けた。
広い廊下に騒がしいシュンの声が響き渡る。
「はい、ストップ」
「わわっ」
誰かに足をかけられ、全速力で走っていたシュンは思い切り転びそうになり、顔面から床に激突しそうになるのを慌てて両腕で支えた。