姫さまを捜せ!
□第4話
2ページ/4ページ
「……団長」
彼を見て、少しうんざりした様子でリュウイが呟く。
「だ……団長!?」
思わずシュンがベッドから立ち上がって背筋を伸ばす。
今思い返してみると、普通は団長がやるべき仕事をいつもしていたのはリュウイであり、入団してこのかた、シュンは『団長』という存在に会ったことがなかった。
あまり深く考えることがなかったのは、やはりこの、階級など気にする必要などない穏やかな毎日のせいだろうか。
「同盟国との交流会、俺の代わりによろしくね」
「……嫌味を言われるのは俺なんですよ?」
彼は持っていた書類を渋るリュウイに無理矢理渡し、にっこりと笑って言った。
「……あの、本当に団長なんですか?」
シュンは小声で、座ったままでいるソルに問いかけた。
目の前にいる、金茶色の長髪を後ろで無造作に束ね、シャツを胸元まではだけた男は、どう見ても自分たちを統べる騎士団長の雰囲気ではない。
無駄な色気を振り撒いたまるで遊び人のような出で立ちの彼でも、騎士の象徴である剣を腰から下げていることだけが唯一の救いだろうか。