姫さまを捜せ!
□第5話
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「こんなことならもっと真面目に生きてればよかったかな。お前の為にもさ」
「アスカ……いいのよ、そんなこと気にしなくて!」
目を伏せて淡々と話すアスカの手を取り、メルシィは立ち止まって自分の方を向かせた。
「私に任せて。そうだわ、この指輪、目利きの所へ持って行けばそれなりの値段で買い取ってくれるはずよ」
そう言って、白く細い指にはめられた青く輝く石を見せる。繊細な銀細工に縁取られたそれは、太陽の光を吸い込み、神秘的な光を放っていた。
「でも……」
まだ何か言おうとしていたアスカの口を、メルシィは自分の唇で軽く塞いだ。
「い、いやだわ、私ったら、こんな人前で……!」
周囲の視線を感じ、我に返ったメルシィは、赤く染まった頬を両手で押さえながら足早に歩きだした。アスカも慌ててその後を追う。
「あなたといるとおかしくなりそう……それくらい、愛しているのよ、アスカ」
自分に追いつき横を歩く恋人を恥ずかしそうにちらりと見ると、また頬を染め下を向いた。