姫さまを捜せ!

□第7話
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「み、皆さん……っ」

 安堵のせいか、自然と表情が緩む。

「また迷ってんのか?」

 ソルが苦笑しながら言った。

「団長と違って仕事熱心な所は誉めるけどね」

 リュウイがカイルの方をちらりと見て続ける。

「うーん、確かに」
「……せめて否定してくださいよ」

 既に開き直っているカイルの言葉に、リュウイはがっくりと肩を落とした。

「あ、あのっ! そんなことより早く姫さまの所へ……」
「ほら、あれだよ、あれ」
「え?」

 ソルが指差す先、市街地を僅かに外れた細道を目線だけで辿っていくと、古ぼけた洋館らしきものが見える。迷いながらも目指す所へは辿り着いていたようだ。
 ここからでは立ち並ぶ家々に隠れ建物の半分程しか見えないが、その周囲の不気味な空気はこちらにまで伝わってくる。

 シュンは思わず生唾を飲み込んだ。

「あれが空き家第一号な。あそこに姫さまいてくれると助かるんだけど」

 ソルがシュンの頭に肘をのせ、わざとらしく溜め息をついてみせた。

 シュンは不安そうな顔で洋館を見つめている。
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