姫さまを捜せ!

□第9話
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「まったく、姫さまらしい」

 こんな状況だというのに笑いを堪えながらカイルが呟いた。

「リュウイ、指輪取り戻しておいた方がいいんじゃない?」
「ええ。姫さま、案内してください」
「私も行かなければダメ?」
「当然です」

 面倒そうなメルシィを半ば無理矢理連れてリュウイは部屋を出て行った。

「……君も、姫さまと一緒に帰るのは気まずいだろうしね」

 部屋から二人が姿を消すと、カイルはアスカの前にしゃがみいつもの笑顔を向けて言った。

「シュン、もう放していいぞ。ほら、立て」

 ずっと押さえ付けていたシュンをどかし、ソルはアスカを乱暴に立ち上がらせた。アスカは軽くソルを睨みながらもその指示に従う。

「じゃ、俺たちも帰ろうか」

 カイルが先頭に立ち、アスカを挟むようにしてソルとシュンがその後に続いていった。



「……なあ、クソガキ」


 人通りの少ない道を選びながら進んでいると、道中ずっと黙ったままだったアスカがふと口を開いた。
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