姫さまを捜せ!
□第9話
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「クソガキ……って、僕!?」
「お前さ」
文句を言いたげなシュンを遮りアスカが続ける。
「……お前さ、本気で人を好きになったことあるか?」
「え、ええっ!? すす、好きだなんてそんな、ぼ、僕はそんな、な、ないですよ!!」
しどろもどろしながら答えるシュンを横目で見て、そして前方に視線を戻した。
「ふーん……俺もだ」
どこか遠くを見るような目で、アスカはその一言だけ呟いた。
「え……?」
シュンは自分の頭より高い位置にあるその顔を不思議そうに見上げたが、それきりアスカは目を合わせることも口を開くこともなかった。
思いつめたような表情で、じっと前だけ見つめていた。
前を行くカイルも、反対側を歩くソルも、そしてシュンも、城へ戻るまでただの一言も口をきかず、まだ陽のの高い空を背にして黙々と歩いて行った。