バッドエンド
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「頑張るな〜、アイツ」
いつまでも逃げることをやめないハルキはそんなアレックスを見ながら感嘆のため息をつく。
「お前も少しは見習ったらどうだ、木偶の坊」
「でく……」
「お前のように図体だけはでかいくせになんの役にも立たない人間を木偶の坊というんだ。よく覚えておけ」
無駄な動きを披露しながら何度も目の前を通り過ぎるハルキに、視線は敵に向けたままミストは迷惑そうに語りかけた。
「まぁ……いいっスけどぉ。そういうのは本人のいないところでコッソリ言ってほしかったな……」
多少ショックを受けながらも、臆病者を売りにしている彼にとってはなんの効果もなかったようだ。未だ逃亡を続けている。
「お前らあんま足引っ張んなよなー」
少し離れた所で、今度は複数の兵士に囲まれた双子の加勢に入っていたヴィックスが呟く。しかしその表情は笑みさえ浮かべて、まだまだ余裕に見えた。
「フン、誰が……」
子分達全員が反省の色を見せていた中、ミストだけは反抗的に目を細める。
「悪党共め……っ!」
ヴィックスの言葉に耳を傾けていた僅かな瞬間、剣を振り上げた兵士が目前まで迫っていた。この至近距離では魔術を放っている時間はない。