バッドエンド
□―*2*―
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「もしかして……」
何か思いついたようにレオンが口を開く。
「この森って木自体がすげー湿ってるから、火の回りがあんまりよくないのかもな」
独り言のように呟きながら近くに生えていた木の幹に手を添えた。指で強く押すと、そこから水分が染み出してきた。
「すっげー! さっすがレオン、頭良いなー」
レオンと木の周りをを行ったり来たりしながらシオンが叫ぶ。
「ふん、消えようが消えまいが俺には関係のないことだがな」
「お前なー……」
あまりにも無責任な態度のミストを、ヴィックスが安堵と脱力の入り混じった目で見ている。他の仲間達も、もう何か言い返す気力さえ残っていないような顔で溜め息をついた。
「あ!」
まだ木の上で周囲を見渡していたハルキがもう一度叫ぶ。今度は火元とは逆の方向を向いていた。
「どうした?」
同じように、また全員がハルキを見上げる。
「いましたよ、いましたよ、例の獲物! 豪華な馬車に偉そうな兵士に……間違いないっスね。なかなか期待できそうっスよ!」
「マジか!? 酒場連中の情報もたまには役に立つんだな」
ハルキの言葉を聞くと、今まで暗い雰囲気を漂わせていた盗賊達の顔に輝きが増した。
「よっしゃー! これで野宿ともおさらばだ!!」
「やっとあったかいベッドで寝れるぜ……っ!」
「美味しい物食べられるんですね!」
よほどひもじい生活をしていたのか、薄っすらと涙を浮かべているものさえいた。