バッドエンド

□―*4*―
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「おっと」

 走って向かって来ようとしたその男を、小柄な青年が二人、行く手を阻んだ。

「普通は量より質が大事なんじゃねーの?」
「無駄に数だけ多くてもな」

 右手で剣を構えたシオンと、左手で剣を構えたレオン。寸分違わぬ動きを見せながら、男の振り下ろした剣を受け止めた。
 耳障りな金属同士の擦れ合う音が途切れたかと思うと、息の合った二人の蹴りで男の体はその場に崩れ落ちた。重たい一撃を真正面から受けて、声にならぬ声で呻いている。

「あり? もしかして今の俺達も質より量か」
「いや、こいつらみたいに無駄に多いだけじゃねえだろ」
「そっか、だよなー。俺とレオンのコンビネーションに敵う奴なんていねーもんなっ」

 ケラケラと笑いながら兵士を見下ろす。

「あ?」

 しかし一人倒して油断していた為か、気付けば数人の兵士達に囲まれてした。

「やっべー、ピンチじゃん」
「調子に乗ってるからだバカ」
「人のこと言えねーだろ! バカって言って方がバカなんだよ!!」
「じゃあお前が一番バカだ」
「はぁー!?」
「両方大バカだ! 戦闘中に何じゃれてんだよ」

 危機を危機とも思わないその様子を見て少し離れた所からハルキが叫ぶ。同時に複数の小刀が二人を囲んでいた兵士達の体に突き刺さった。

「ぐあっ」

 シオンに剣を振り下ろそうとしていた兵士の手の甲に直撃した。彼は思わず剣を落として傷口を押さえていた。他の者達も足や腕に刺さった小刀を抜こうと必死にもがいている。

「おっ、サンキューハルキ!」
「でもお前、戦闘中に何隠れてんだよ」
「あ、バレた?」

 声は聞こえるがハルキの姿は見えない。飛んで来た方向から考えると、恐らく葉の生い茂った木の上にでも身を潜めているのだろう。

「ついでに今投げたの拾ってきてくんねー? 手持ち残り少ないんだよ」
「自分でやれ」

 息の揃った二人の声がその願いを一掃した。双子は次の相手を探し、先程手の甲に傷を負った兵士に狙いを定めた。どうやら複数人一度に相手をするのは苦手らしい。

「ちぇー。ま、いいや。おーいアレックス。あいつらの代わりに取って来い!」
「へ!? あ、は、はい!」
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