バッドエンド
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その後ろを追いかけていたシオンとレオンも所々傷を負ってはいるものの、まだ余裕はありそうだ。
「アレックス、お前大丈夫か?」
ふらふらとした足取りで前を歩いていたアレックスが視界に入ると、ヴィックスは心配そうに聞いた。
「だ、大丈夫ですけど、さっきの衝撃がまだちょっと……」
苦笑いしながらアレックスは答えた。先ほど兵士から頭に食らった一撃がまだ響いているようだ。
「あ、自分よりミストさんの方が……」
後頭部をさすりながら、同じくふらついた足取りのミストを支えるようにして、遠慮がちに言う。
「……うるさい、構うな」
アレックスの手を振り払い、近くの木の幹に寄りかかる。腕の出血は先ほどよりは治まっているようだが、顔色は悪く呼吸も荒い。眉間に皺を寄せて目を閉じた。
「ああ、確か魔力使い切ったって言ってたもんな。やっぱ辛いのか?」
魔術師にとって魔力は魔術の使えない者にとっての体力と同じ。今は動くのも辛いはずだ。
ヴィックスはミストの顔を覗き込んで様子を窺った。
「別に」
目が合うと、ミストは決まり悪そうに目をそらした。