バッドエンド

□―*9*―
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「……っ」

 身体が重い。未だはっきりとしない意識の中で、ミストは薄く目を開けた。
 木々の隙間から見える空は暗く、先ほどよりも肌寒く感じる。近くでパチパチと何かが燃えるような音が聞こえ、視線を移すと小さな焚き火が柔らかな光を放っていた。

 重い身体を起こし、辺りを見渡す。森の中であることは変わりない。恐らく場所も変わっていない。時だけが過ぎ、夜の帷が支配している。静寂に覆い尽くされた空間の中で聞こえるのは焚き火の音と、どこかから聞こえる不気味な鳥の鳴き声。そして静かな寝息。
 ふと、足元に目をやると、自分の太股を枕に眠るアレックスが視界に入った。重さの原因は、これか。

「おっ、気が付いたか?」

 ミストが困惑したまま
固まっていると、背後から小枝を抱えたヴィックスが現れた。焚き火に近づき小枝を数本投げ入れると、僅かに炎が広がった。
 よく見ると、焚き火の周りにはハルキやシオン、レオンも気持ちよさそうに眠っている。
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