八犬伝同人
□望んだものは
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「あれ、旦開野?どうした」
庭先でぼんやりしていると小文吾が通りかかった。
きれいに畳まれた洗濯物を両腕いっぱいに抱えている。
「…べつに」
ふいと顔を背けてこたえた俺に、つかつかと近寄ってくる。
「傷が痛むのか?このあいだ渡した薬、ちゃんと飲んでるのか」
「うるさいな。放っとけよ」
俺にかまうな。
全身でそう訴えているのに、気付いているのかいないのか。
小文吾はいつものように世話焼きぶりを発揮して、傍を離れるようすはない。
イライラする。
「おまえ仕事中だろ。こんなところで油売ってないでさっさといけよ」
追い払うようにそういった俺に気をわるくしたふうもなく、
「機嫌がわるいんだな」
とつぶやいて隣に腰かける。洗濯物を抱えたままで。
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