time cross lover
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「よう」
『あ、お帰り』
昨日、この女の封印を解いてしまった以上、責任は取らなにゃらん
とりあえず屋上の一角にある小部屋へ住まわせることにした(もちろん鍵は俺のもの)
「ここ、使われとんから安心しんしゃい。誰も来ないじゃろ」
俺は昼飯の入ったビニール袋を置いて床に座った
『あら、舐めないでくれる?あたしは未来人なのよ?いわゆる魔法使いみたいなんだから、誰か来たって対処くらい出来るわよ』
そう言い、女は俺のツナマヨおにぎりを奪った
『懐かしいなあ』
未来では、コンビニおにぎりはポピュラーじゃないのかのう
『んー…まあ、あるけどそんなに食べないわね。うん』
「じゃあ、何を食うんじゃ」
『ん』
女は頭を指で指す
「は?」
『調理とかじゃないの。過去にあったものはすべて形を持たずに脳内に記録されてるの。だから、食べたいものを自分で生み出す、みたいな?』
「ずいぶんハイテクじゃな…ドラちゃんみたいじゃ」
『むっ。キャラと一緒にしないでよ』
「じゃあ、ドラミ」
『むきー!』
「ははっ…あ」
俺は、とあることに気がつく
そういえば、お互いの名前を言っていない
「なあ」
『ん?』
女の唇に海苔がついちょる
「名前、何ていうん?」
『…!』
女は黙った…あ。
「すまん、先に名乗るべきじゃったな…俺は仁王雅治」
『…ない』
「え?」
『思い…出せない…』
女は下を向いて、目を瞑った
「……ユキ」
『?』
「お前さん現れた時、雪みたいじゃった。ふわふわきらきらしちょった…じゃから、ユキじゃ」
『……あたし…がユキ?』
「おん。無いなら作るしかないじゃろユキ」
その瞬間、ユキは涙を滲ませて、薄く微笑んだ
鼻血が出そうじゃった