Novel・1


□おねだりしてね
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体育の授業が終わり制服に着替えた美咲は教室へ戻る途中だった。
その時後ろから碓氷に声をかけられた。

「ミサちゃん足…もしかして捻挫してる?」

驚いて振り返ると碓氷が美咲の足首を見つめていた。

「ああ、どうもそうみたいだな」

美咲は面倒臭さそうに答えた。

「体育で?保健室行った?」

碓氷は心配そうに美咲を覗き込んできた。

「い、行ってない。とりあえず今はいい…」

体育の授業のせいか近づく碓氷の体温がいつもより温かい。

男子はサッカーだっけ…。ちょっと太陽の匂いがするな。

真っ赤になる美咲の足元に碓氷がしゃがみ込む。

「ダメ!保健室連れて行ってあげるから乗って!」

お、おんぶってことか?!

「い、いいってっ!それに今日、保健室は誰もいないはずだし…次の授業始まるし」

じゃあ、待っててと碓氷は立ち上がると美咲の体育服を奪い教室へ走り出しすぐに戻ってきた。

「ミサちゃんのクラスには説明してきたから保健室行くよ!ハイ乗って」

再びしゃがみ込む。

「い、いや…ちょっと待て…自分で歩く」

碓氷はため息をつくと立ち上がり美咲を抱き上げた。

「わッ!ちょ、ちょっと待て!何でお姫様抱っこになるんだよッ!恥ずかしいだろ!」

「素直におんぶされないからでしょ?それに暴れたらパンツ見えるよ?ミサちゃん」

っくそーッ!アホ碓氷!

真っ赤な顔で睨んだ。

「そんな顔したらキスしたくなるんだけど?」

ニッコリと笑顔で碓氷が美咲に顔を近づけた。
離れようにも逃げれず暴れると

「だから暴れたらパンツ見えるってば…俺以外に見せるの許せないから暴れないで!」

冗談なのか本気なのか…。

美咲は大人しくするかわりに碓氷の頬を抓った。
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