『あと5分』
「全く…無防備なんだから…」
ため息と一緒にこぼれた言葉は意外と優しかった。
用事を済ませいつものように生徒会室の扉を開けると彼女が眠っていた。
会長としての仕事も山のようにあるのに皆が彼女を頼るものだから仕事は減るどころかどんどん増えていく。
もちろん責任感の強い彼女の事だから頼られれば頑張ってしまう。
そんな彼女に俺との時間を優先して欲しいなんて…負担になる事は言いたくない。
だけど―――
彼女が起きないようにそっとキスを落とした。
あと5分―――
そう。あと5分だけいい。
誰かが来るまでは―――
無防備な彼女の時間を独り占めさせて欲しい。
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