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□え、マジで?
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ヒバリが体育館にいるなんて、すっごく珍しいことだ。
その日オレは体育の時に上着を忘れちまって放課後の体育館に顔を出した。いつもはバスケ部が汗を流して部活をしている時間帯だけど、今日は休みらしい。静かな体育館の中に、ヒバリがいた。
つってもヒバリはお昼寝中のようで、ステージに腰を降ろしながらうとうとうたた寝を打っていた。邪魔しちゃ悪いかなとも思ったけど、ヒバリの手にはオレのジャージがしっかりと握られていた。
まぁおそらく見回り中にこれを見つけたんだろう、今日は天気もいいし、絶好の昼寝日よりだから、こんなとこで寝ちまったんだろうな。
「…ん」
「あ、」
「……やま、もと…?」
「わり、起こしちまったな」
「別に…これ、君のでしょ?」
「おう!サンキュ」
ジャージを受け取ると、まだ寝ぼけているようなヒバリは目を擦りながらぼうっとしているようだった。
「きみの、」
「ん?」
「きみのにおいがした」
「へ?」
「安心する、におい」
「ヒバ、」
何がなんだかわからないまま、ヒバリに服を引っ張られて、ぎゅうと抱き締められる。あ、れ?いいのかこれ。ヒバリ酔っぱらってんの?寝ぼけてるからこういうこと言ったりしたり、だって。こんな幸せでいいのか!?
滅多にないシチュエーションに変な汗をかきながら、ヒバリの背中にゆっくり手を回す。
と、
「……」
「…ヒバリ?」
「……」
ヒバリが再び夢の中に入ったことに気付くまで、たっぷり10秒。
え、マジで?
(普通あんた、このタイミングで寝るかよ…)
うちのヒバリさんはしょっちゅう寝てます。笑
090922