手をかざした。きらりと小指の指輪が光る。
遡ること一昨日、いつものようにオレは獄寺くんと帰っていた。他愛ない話をしながら歩いていたら、ふと獄寺くんの足が止まった。
「10代目、そういえばもうすぐお誕生日ですか」
「え?…そういえば、そうかも」
「そうですよね!張り切ってお祝いさせていただきます!!」
「へっ?ふ、普通でいいからさ、うん」
「何を言ってらっしゃるんですか!!10代目はオレにとって特別なお方なんです、前祝いから後夜祭まできっちりとやらせていただきます!!」
「……獄寺くん(後夜祭って)」
いつも言うことはオーバーな獄寺くんだけど、そのぶん獄寺くんの気持ちとかすごくすごくストレートに伝わってくる。その度に、幸せだなあって恥ずかしくなるほど感じたり、嬉しくなったり。
何やら考え込んでいた獄寺くんははっとしたようにカバンを漁って何かをオレに握らせた。
開いた掌にはシルバーの指輪が光っていた。
「…これ、」
「前祝いのプレゼントです。つっても自分用のをサイズ間違えて買ったやつなんで、お誕生日の時にはまた違うものをプレゼントさせていただきます!」
嘘だ。
獄寺くんって頭いいのにこういうときってばかだよ(オレは逆か)。指輪のサイズなんて間違えようがないだろ。
「これ、小指用なんだね」
「はい!ピンキーリングっす!」
「…可愛い」
「10代目に似合いそうだったんで、気が付いたら買って……あ、」
「はは、ありがとう、獄寺くん」
「…すいません。喜んでいただけてオレも嬉しいっす!」
きらり。日の光を反射して七色に光る。
そよ風に揺れる宝物が君の笑顔と重なって、愛しくてしょうがないんだ。
ピンキーリング
(この眩しさは、君の笑顔!)
ツナ誕前祝い!
爽やかさを目指しました。
090922