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切れ長の瞳
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「あ、」

「………」




その日の昼休み。オレはツナたちよりも一足先に屋上に来ていた。二人はノートを提出してから行くからと教務室へ行っている。そんなこんなで屋上で二人を待っていたらふと扉が開いた音がした。二人が来たのかとも思ったけど、気配はひとつ。振り向くと、そこには黒い学ランを羽織った人物が立っていた。




「ヒバリ、センパイ」

「……」




この間、小僧にすっかり騙されて応接室に行ったとき、オレはヒバリセンパイにぼこぼこにされた。それ以来、小さく芽生えた恐怖心があったけど、センパイはオレの怪我した右腕に攻撃することはなかった。もしかしたらいい人なのかもしれないとも思うし、バカなオレにはこの人の性格はよくわからなさすぎる。
センパイは明らかに不機嫌な顔をしながらオレから離れた場所に座る。…やっぱり不思議な人なのな。少し話してみたくなって、すたすたとセンパイの隣に歩いていって腰をおろす。センパイは怪訝そうな顔をしながら口を開いた。




「…何?」

「や、なんとなく」

「……」

「だめっスか?」

「…別に、いいけど。今は群れてないみたいだし」




そういえば野球部のセンパイが「雲雀恭弥は群れが嫌い」とかなんとか言ってたような気がする。要するに、他人と関わるのが嫌いなんだろーか?取り敢えず自分は今ヒバリセンパイの言う「群れ」をつくっているわけじゃないから咬み殺されることはないわけか。




「センパイは、一人で寂しくないんスか?」

「…寂しい?」

「はい」

「ないね」

「あ、そうっスか」

「君、馴れ馴れしいね。なんなの、一体…」

「へ」




ふと気が付くと、隣には誰もいなかった。驚く暇もなく後ろの首筋にぴたりと冷たいものが触れる。




「ねぇ、山本武。次に僕の邪魔をしたら咬み殺すから」




腕の怪我は考慮してあげるけど。
その時見た不適な笑みを、一生忘れないと思った。



















れ長の瞳

(いつか、この人の調子を狂わせてみたい、なんて)





















山本がヒバリさんに惚れた話です(え



091022

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