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忘れられなかった
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※微シリアス。
















がしゃん、大きな音をたてて花瓶が粉々に砕け散る。それでも気持ちはすっきりしない、がむしゃらに壁をトンファーで思い切り殴り続けた。
いらいらいらいら、ああもうなんなんだ、僕は一体どうしてしまったと言うのだろう。ぼこぼこと壁に穴が増えていって、ぽっかりと沈んだ白い壁、手を止めて肩で息をする。はぁとひとつ置いてから再度動きを再開する。むかつく、むかつく。なかなか思い通りにいかない故郷の外の世界、そのせいか体調が優れない自分の身体、そしてなにより、




「恭さん」

「、」

「どうぞ」




すっと机の上に置かれた白い封筒。トンファーを放り投げて、それに手を伸ばす。後ろから聞こえたカランと軽い音と、走り書きのような見覚えのある文字。何かが抜けていったような感覚がした。
無言で封を切り、それを開けば内容は一文だけのごくあっさりしたものだった。それでも一文字ずつ丁寧に目で追って行く。は、と乾いた笑いが自然に漏れた。




「哲、大至急車と飛行機の手配を頼む」

「へい」

「あと、手付かずの書類を集めておいて。向こうでやるから」

「わかりました」




一礼して部屋を出ていった彼を確認してからソファーに崩れ込んだ。先程と打って変わって穏やかな心境に僕も末期だなんて苦笑が漏れた。






















れられなかった

(『待ってるから。』)


(たった1ヶ月の我慢で済む話なのに、)(何をするにも君を思い出したよ)























1ヶ月の長期任務で出掛け際に「君と1ヶ月会わないくらいなんでもないよ」みたいなことを言っちゃって意地でも会わないと決めてたんだけどやっぱり寂しくなっちゃったヒバリさん。
山本はそれを想定してて、草壁さんにあらかじめヒバリが荒れたら渡してほしいと手紙を預けてたみたいな。

いつもと雰囲気変えてみようと頑張ってみたらわかりづらすぎる。続くかも、です!



091025

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