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真っ赤な顔では説得力がありません
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オレ、山本武は、雨も降っていないのに水浸しになりました。

意味がわからず立ち尽くすオレに、水をぶっかけてきた知らないヤンキーなお兄さん。唖然としているオレをギロリと睨んでる。ヒバリのに比べたら怖くねーなあなんて暢気に考えてる自分がいた。




「あのー…?」

「人の女に手ぇ出しやがって、ふざけてんじゃねーぞクソガキ!」




水の入っていたペットボトルをぱこんとオレに投げ付けて、ヤンキーなお兄さんは大股で帰っていった。
……どうやらオレは間接的にヤンキーなお兄さんの気に触る事をしてしまったみたいだ、彼女と仲良くやってくださいよ、なんて苦笑してから今の自分の状況を改めて確認してみる。うーん、このままじゃ教室行けそうにないな、制服がぐちょぐちょできもちわるい。鞄が濡れてるところを見ると、練習着も無事じゃないよな。

朝っぱらからとんでもない目にあったもんだ。




「…山本武?」

「あ、ヒバリ」




偶然にもヒバリと遭遇。なんだか怪訝な顔で見られてるけど気にしない、気にしない。
微妙に距離をあけてヒバリはオレの様子をじろじろと観察して、ため息をついた。




「朝からヒバリに会えてラッキーなのな!」

「…君、その格好、」

「ちっと色々あって」

「君の上だけ雨でも降ったのかい?」

「……はは」




苦笑いのオレにヒバリは本日二度目のため息をつくと、一人でさっさと並中へ歩き始める。




「ヒバリー」

「ついてくるな」

「でも目的地一緒だから仕方ないのな」

「じゃあ離れて歩け」

「冷たい」

「全身びしょ濡れのやつと歩きたくないんだよ」

「あー、だよな」

「隣に並ぶな!」

「まあまあいいじゃねーか」

「よくない!」




ぐるんと振り向いたヒバリはなんだか可愛くて。あー抱き締めたい。

手を伸ばせば、びしょ濡れで抱き着くな!と殴られそうになったから我慢することにした、しんどいのな。




「…後で応接室ね」

「え?」

「ネクタイ、ついてないから」

「あ、やべ」

「…ついでにバスタオルでも貸してあげるよ」

「……ひ、ヒバリぃ!!」

「抱き着くな!!」








っ赤な顔では説得力がありません

((結局二人してびしょ濡れになった。))










ツンデレか!
ヒバリさんがまったく別人と言う悲劇…



090721

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