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□手をつないだ。きみに一歩近づけた気がした。
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「10代目!帰りましょう」
「うんっ」
最近、放課後のこの時間が待ちきれない。獄寺くんは毎日オレを誘ってくれて、二人で一緒に帰る。他愛ない話をしながら歩いていると、10代目とその右腕って関係が簡単に崩れていって普通の恋人同士になれるから。
たまにコンビニに寄ったり、二人で鯛焼きを半分こにして食べたり、公園で話に熱中して帰る時間が遅くなったり。兎に角二人で幸せだって感じられる時間が一気に増えたような、そんな感じ。オレたちって端から見たらバカップルなんだろうか、まぁバカップルって仲がいいってことなんだし、気にすることないか。
「10代目、今日どっかよりたいところありますか?」
「うんと、………」
「10代目?」
「ご、獄寺くんの家、行ってみたいかなぁ…なーんて」
「…へっ」
わ、我ながら積極的な。勇気を出した自分を褒めてあげたい。
獄寺くんは赤くなっておろおろと視線を泳がせていて。困らせちゃったかな、なんてちょっと反省した。
「じ、10代目」
「うん?」
「その、オレ、一人暮らしです」
「うん」
「すごく散らかってますけど」
「うん」
「部屋狭いですけど」
「うん」
「それでも大丈夫ですか?」
「うん、」
「…わかりました、じゃあ行きましょう!」
「うん!」
不意に、手が当たった。驚いて一旦引っ込めて、もう一度手を伸ばしたら、自然と指が絡まった。
なんだか、嬉しくてふわふわして、照れくさい。
こういうの、愛しいって言うのかな。
手をつないだ。きみに一歩近づけた気がした。
(獄寺くんの手、大きいね)
(10代目は、小さいですね)
(…あったかい)
(…あったかいですね)
title:確かに恋だった様
ケータイに長いこと保存されいてた作品だったりします。
こんのバカップル!甘くて糖尿病になるっつの!
こちらのお題を一目見て、「あー、獄綱!」と思いました。久々の獄綱は楽しいなぁ!なんで中学生って何やっても(やらせても)どきどきするんだろ!
090814