s

予想外でした。
1ページ/1ページ





「ねぇ、山本武」




そう言って、ヒバリは妖艶に微笑んだ。
オレはこのヒバリのことをよく知らない。オレが知ってるヒバリはもっと幼くて、こんな風に笑ったりしないんだ。時が流れるってすごいことだよな。




「何を緊張してるのさ」

「や、だって、こうやってちゃんと話すの、初めてっつーか、…久しぶりっていうか」

「…成る程ね」

「…」

「10年前と同じようにってわけにはいかないね」

「すいません…」

「謝ることなんてないけど。君らしくもないね」

「努力、します」

「そう」




楽しそうに笑うヒバリを前に、オレは確かに緊張していたんだと思う。小僧との修行の後、恐らくツナの相手をしていたばかりだと考えられる10年後のヒバリにちょっと話そうか、なんて部屋につれてこられた。普段ヒバリは部外者をここに入れないらしい、ピンとはった空気に、静かな和室。ヒバリらしいななんて思った。そのうち草壁さんが和服の替えを持ってきてくれて(オレの着てるやつは小僧との修行で汚れてたから)、着替えて戻った頃にはヒバリもスーツから和服になっていた。その綺麗な姿に思わず目を奪われたことに、ヒバリは気付いていたのかな。早かったね、なんてこちらを振り向いたヒバリに向かいの座布団を勧められて、冒頭に戻るわけだ。




「10年後の君がね、」

「え?」

「10年後の君が初めてこの部屋に入ったときも、同じような反応をしていたよ」

「…へぇ、」

「変わらないって、いいことだなぁと思った」

「はは、…ヒバリ、も、変わってないっスよ」

「そうかな、」

「負けず嫌いで、綺麗で、かっこよくて」

「ワオ、」

「口癖も、あと見えないとこで気を使ってくれてるとことか」

「…10年後の君も、同じことを言った」

「せ、成長してねぇ」

「ほんとにね。…でも、」

「?」

「僕はね、そんな君のことが大好きなんだ」















想外でした。

((誰が予想できようか!))



真っ赤になったオレを見て、まだまだ子供だね、なんてヒバリは笑ったけれど、あんたの頬が微かに赤くなってるの、気づいてないわけじゃないからな!!























山雲の日!
に書いたものです。気が付いたら19日、やっちまった。

雲山っぽくなってしまったので…最後は強気な武くんで山雲と言い切ります!



090818
090819

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]