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□よわない
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二人、一つの部屋の中。
ソファーに座り何をするでもなくただただ、隣に居る恋人を見つめるオッドアイの青年。
一方ただひたすらに隣に座りオッドアイの青年に寄りかかりその指を自分の指に絡め、遊んでいる黒髪の青年。
ただ時間は流れていき、その状態が数分ほど続く。
オッドアイの青年、骸はきゅ、と恋人の雲雀に遊ばれていた手で雲雀の指を捕まえる。
「………骸」
と指を捕まえられてしまえば、雲雀は恋人の名前を呼んでゆるりとした顔で見上げ、すり、とすり寄り同じようにきゅぅ、と指を絡める。
「クフフ…可愛いですね。」
「ん………ぅ、」
頭を愛でるように優しく撫でられればそんな微かな声を漏らして甘えるようにすりよる雲雀。
きゅぅ、
そんな恋人の可愛らしい姿に骸は胸を締め付けられる。
あぁ、なんて幸せなんだろう。
そんな事さえ思ってしまう。
でも、そんな静かな時は一瞬だけ。
骸が雲雀に触れたのも、見たのさえも何ヵ月ぶりか……
お互いに多忙なのだから仕方ないのだが……
そんなふうに思考を巡らせる骸を見た雲雀はむっ、としたようにぐりぐりと頭を骸の胸板に押しつける。
「骸…何考えてるの?」
そう言ってふと、体を離す雲雀。
「……泣かないでください。僕が悪かったです。恭弥…おいで。」
体を離されれば思考の海から意識を戻し、ふと雲雀の顔を見てはそう言って抱き寄せる。
「むくろの馬鹿ぁ…//」
抱き寄せられればそう言って、泣きじゃくりながら骸に抱きつく雲雀。
自分から離れておいて体温が感じられなくなったのが寂しくなってしまったのだろう。
「…クフフ」
と骸に笑われてしまえばまたぐりぐりと頭を押しつける雲雀。
骸はそれに応えるようにぎゅうっ、と雲雀を抱き締め、優しく頭を撫でてやる。
「…むくろ、……むくろ………むくろ//」
そう愛しげに恋人の名を呼びながらちぅ、と何度も触れるだけのキスをする。
「ん…恭弥…」
それにまた骸もちゅっ、とキスを返す。
ゆっくりと雲雀の腕が骸の首に絡まれば、それが合図と言うようにゆっくりと、体を重ね愛し合うように深いキスを交わす。
ゆっくり、ゆっくりと、
この時間を無駄にしないように。
この酔っていられる時間を潰さないように。
-END-