純愛詩

□純愛詩
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この話は全ての戦いが終わった後、朱雀、白虎、玄武、青龍の七星士達が能力を保持したまま元の性格に戻った話である。
そして、朱雀を呼び出した後、朱雀の巫女ゆり(現在は巫女ではない)が本の中に止まったことから始まる。
ゆりは井宿と結ばれた。ほかの七星士達も自分たちが望む姿へと転生したのである。
朱雀七星士は時々、集まっては昔の話をする。
ある日、ゆりは誰かを探しながら、町を走っていた。

ゆり「はぁーはぁーはぁっ」
柳宿「あら?ゆりじゃない?どうしたの?そんなに走って」
ゆり「はぁ、はぁ(落ち着いてから)井宿見なかった?」
柳宿「井宿?!そういえば、昨日の飲み会から見てないわね〜」
翼宿「ん?どーしたんや!柳宿!!」
柳宿「ゆりがね〜。井宿探してるんですって。」
ゆり「あ〜そっか。翼宿も一緒に住んでるだったね。」
翼宿「今更何言うとんねん。もう1年も経ってんやぞ!いい加減俺らの関係覚えろや!!」

柳宿は女性の姿へと転生したのである。そして、翼宿と夫婦に。

ゆり「それ、昨日も言ってたよ!毎回、同じこと言うんだから。」
翼宿「ゆりが何回も言わせてるんやろっ!」
ゆり「で、翼宿は井宿見てないの?」
翼宿「んーーー。また、どっか旅でも行ったんちゃうか?あいつ、放浪癖あるしな。」
ゆり「そんなことないよ!!」

ゆりは少し怒っていた。

柳宿「(翼宿をなぐって)何言ってんのよ!あんたじゃないんだから、ゆりを置いてどっか行く訳ないでしょうが」
翼宿「いてぇ〜!!何すんねん!俺かて、柳宿を置いてけへん!」
柳宿「あんたがデリカシーのないこと言うからでしょ!」
翼宿「しゃーないやん。思ったんやから!!!」

二人の会話を聞いてたゆりが沈んでた。それに気づいた、柳宿が声をかける。

柳宿「もう!翼宿!!!」
翼宿「ゆり、冗談やで〜」
ゆり「……………。」
柳宿「もう!井宿がゆりを置いていくわけないんだから、大丈夫よ。あ〜そうだわ!星宿様の極秘の用事とかじゃない?」
翼宿「そや!星宿様んとこやろ。きっとそうやて。」
ゆり「………二人ともありがとう!星宿のとこ行ってくるね。」
翼宿「ホンマ、疲れるわ〜」

二人を後にしたゆりは、そのまま一直線に星宿の宮殿に向かった。
星宿も元の体に戻してもらって、今もなお、紅南国の皇帝を務めているのである。
しばらく走っていたら、張宿とすれ違った。
張宿もまた、元の体へと。張宿も1年経ってすっかり変わった。大人びたというかー。成長したというかー。

張宿「あ。ゆりさん!どうしたんです?そんなに急いで」
ゆり「あ!張宿っっ!!…井宿見てない?」
張宿「井宿さんですがー。見てないですね。井宿さんどうかしたんですか?」
ゆり「…いなくなっちゃったのよ。朝起きたら、隣に居なくて……それで…」

パニック状態のゆり。

張宿「落ち着いてください。」
ゆり「井宿になんかあったら…(泣く)」
張宿「………星宿様には聞きましたか?」
ゆり「ううん。今から行く所だったの…」
張宿「そうでしたから、でしたら、僕も今から宮殿へ行くところでしたのでご一緒します。星宿様なら何かご存知のはずですよ」

二人で星宿の居る宮殿へ向かうことにした。
宮殿へ着いた二人は、顔パスが利くようで,あっという間に星宿のいる場所へと案内された。
張宿はひざを付き、深々と頭を下げていた。

星宿「どうした?ゆり。張宿。」
張宿「僕はゆりさんの付き添いで。付き添いって言ってもさっき出会ったばかりなんですけど。」
ゆり「星宿!!!…井宿見なかった?!」
星宿「……………。」

なにも答えない星宿。それはなにかを知っている顔だった。しばらく、黙ったままの星宿だったがしばらくして、口を開いた。

星宿「井宿は旅に出たんだよ。」
ゆり「嘘…」
星宿「嘘ではない。」
ゆり「なんで!なんで、一人でどこいったの?ね、星宿!!!…もうどこにも行かないって言ってたのに」

ゆりは泣き出してしまった。

張宿「星宿様、それはどういうことなんでしょうか?」
星宿「大事な用があると。…もっと力を使えるようになりたいと言っていた。」
ゆり「なんで…」
星宿「ゆりーーー!!!」

星宿が叫んだ頃には、もうゆりは宮殿を飛び出していた。あてもなく、ただ…森を目指して走っていた。
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