純愛詩

□浪漫花伝
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ここは四神国の紅南学園。
今年も新入生を迎える時期となった。今年の新入生は附属中等から50人、他中等から30人の計80人。
この学園は特殊体質と優秀な生徒しか入れない学校でもあった。高等は5生まで在籍する学園。
今年この学園に入学することになった、主人公:佐倉 藍。現在16歳。

鬼宿「おーーそっか。今日だったんだな。新入生が入って来るの。楽しみだ!」
翼宿「たまーー。なに張り切ってんねん。」
柳宿「なに?可愛い子でも居たの?」
鬼宿「ちげーよ!…後輩が入ってくるんだよ!」
翼宿「たまの?」
鬼宿「中等の時のな〜」
柳宿「あーそっか。たまちゃん、能力あったくせに、お金がないもんだから…一般の中等出身だったわー!」
鬼宿「お金ないくせには余分だろ!」
翼宿「たまの後輩やで、こんなやつやろ?」

翼宿は動作で、表現してみた。

鬼宿「違うって!」
柳宿「どんな子かあたしも見たいわー」
鬼宿「うん。絶対、柳宿も気に入ると思うよ。あ!」

門の方に手を振る、鬼宿。手を振る先には藍が居た。
手を振っている鬼宿に気づく、藍。
藍は鬼宿の中等バスケ部の後輩でマネージャーを勤めていたのだ。見た目はおとなしめの子。

藍「あ…鬼宿先輩。…お久しぶりです。」
鬼宿「ちょっとそこで待ってて。今からそっち行くから!」

鬼宿達は急いで門のところへと走って行った。

鬼宿「あれ、藍って…パーマ掛けてたっけ?」
藍「高等デビューで掛けてみました!…やっぱり変で下?」
鬼宿「そんなことないよ。似合ってる」
藍「ありがとうございます。」

鬼宿の傍には、柳宿、翼宿も一緒に居た。

鬼宿「あ、柳宿、翼宿!この子がさっき言ってた俺の後輩、佐倉 藍。」
藍「佐倉です。…鬼宿先輩がいつもお世話になっています。」
鬼宿「おいおい。藍、で…こっちのオレンジ頭が翼宿。こいつ、見た目はこんなんだけど、いい奴なんだ!」
翼宿「おい!たま。見た目はってどういうこっちゃいな。」
藍「翼宿先輩ですね。よろしくお願いします。」
翼宿「お、おん。」
柳宿「な〜に、翼宿。照れてるの?」
翼宿「ちゃうわ。ボケー!」
鬼宿「で、こっちが…柳宿。二人とも生徒会のメンバーなんだ!」
藍「え?鬼宿先輩が生徒会?!」
鬼宿「俺がやっちゃいけないような反応だな〜」
柳宿「よろしくね。」
藍「…柳宿先輩ですね。中等でも柳宿先輩の美しさは評判でした。本物を見られて、光栄です!…本当にお綺麗なんですね!」
柳宿「…たまちゃん…」
鬼宿「どうした?柳宿?」

柳宿は藍を抱きしめていた。

柳宿「あたし。この子好きだわ。なんて正直な子なの!」
藍「ありがとうございます。」
鬼宿「なー、藍!もう部活とか決まってるのか?…その、もしよかったら中等みたいにまたバスケのマネージャーやってくれないか?」
藍「…考えておきます。」
鬼宿「藍がいるだけで勝てる気がするんだー」
藍「そんな大げさな…」
鬼宿「絶対そうだって!」
藍「そうですか…。(時計を見て)鬼宿先輩、私これから式もありますので、この辺りで失礼します。」
鬼宿「じゃあ。またあとでな。」

時計を見ながら足早に去っていく、藍。

翼宿「たーまー!なんや、お前。あの子、気に入ってるんやな。」
柳宿「あたし程じゃないけど、キレイでいい子ね〜」
鬼宿「そうだろ。そうだろ!藍はめっちゃいい子なんだって!」

翼宿、柳宿、鬼宿の3人も足早に体育館へと向かった。
その頃、体育館の入口付近では先生2人と生徒2人が打合せをしていた。
今年の総代を勤める二人であった。一人は、中高等一貫からの生徒・張宿。もう一人は、藍。
二人共、優秀が故に選ばれたのだ。

先生1「こちらが、張宿さんで。こちらが佐倉さん。…今年は二人とも同一の成績だったんですよ。」
先生2「二人共しっかり挨拶の方をお願いします。」
張宿「分りました。よろしくお願いします。」
藍「はい。よろしくお願いします。」

先生達は二人に原稿を渡したらその場を去って行きました。残された二人は…

張宿「あのー、佐倉さん。僕から読めば良かったですよね。」
藍「はい。そのように指示してありますよ。」
張宿「ありがとうございます。」

二人の打合せも終わり、それぞれの席へ着席し。
生徒全員が揃ったところで、式が開始された。もちろん、生徒会メンバーも出席している。
会長・副会長は段の上に。他のメンバーは生徒達と同じ場所に座っていた。

翼宿「おい、たま!あそこにおるのさっきの藍っちゅー子やない?」
鬼宿「ん?」
翼宿「あー!隣には張宿もおるやないか。」
鬼宿「本当だ!藍は中等の頃から常にトップだったからな…そっか。今年の総代は、張宿と藍なんだな。」
井宿「…鬼宿。翼宿。…静かにするのだ。式が始まるのだー」

そして入学式が始まった。
まずは校長の話。そして、来賓の挨拶。校歌、この学園の説明。最後に…生徒会長・星宿様の挨拶へと移った。

星宿「…………新入生の皆さん。入学おめでとう。…皆さんもご存知の通り、この学園は特殊体質を持った生徒が大半を占めており、それを生かして社会に貢献している。この学園に入った以上、清く、正しく、そして美しく!日々の生活を過ごしてもらいたい!」

星宿様の話が終わると拍手が体育館に響いた。
席に座った、星宿様。

柳宿「星宿様、感動しましたわ。今年も素晴らしい挨拶をありがとうございます。」
翼宿「…柳宿…」
司会者「次に、新入生総代による、誓いの挨拶。新入生総代、張宿くん。佐倉くん。」
藍・張宿「はい。」

藍と張宿は椅子よりちょっと先にあるマイクが置いてある前へと歩いて行った。

張宿「今日は、私達のためにーーーーー」

張宿と藍がお礼の挨拶を話だした。

藍「ーーーーー頑張って行きます。」

一礼をして、席に戻った二人。

翼宿「なんや〜あの子。おとなしいだけやないんやな。」
鬼宿「藍…」
翼宿「なんや、たま。感動しとるのか?アホやな〜」
鬼宿「そんなんじゃーねーよ!」

式も無事に終わり、教室へ戻る藍達、新入生。
帰る間際、声を掛ける鬼宿。

鬼宿「藍!…午後は部活紹介やるから見てな。」
藍「鬼宿先輩…。はい…分りました。」

午後からは部活勧誘時間に当たるのだ。
新入生はこれから教科書の配布など、やるとこがもりだくさん。張宿と藍は偶然にも同じクラスに。
歩きながら、会話をする二人。

張宿「佐倉さん、鬼宿さんとお知り合いなんですか?」
藍「はい。中等の時にお世話になった先輩なんです。張宿さんも、お知り合いでしたか?」
張宿「張宿でいいです。遠い昔に旅に出た仲間なんです。」
藍「じゃあ、張宿くんで。そうだったんですか。その話なら鬼宿先輩から何度か聞いたことあります。」
張宿「鬼宿さん、本当に強くって憧れなんです。」
藍「そうなんですか。…教室着きましたよ。」

中へと入る二人。その会話はほのぼのしていた。

クラス1「うそーーー!張宿さんと同じクラスなんて付いてる〜♪」
クラス2「佐倉さんも一緒なんだね〜!佐倉さん、一般からなのにすごいわね」

上から目線で話す、特殊生徒達。
それもそのはず、このクラスは一般生徒は30人中3人しか居なかったのだから。特殊生徒達は対して頭がよくなくっても体質があれば入学できるからである。

藍「(小声で:うざっ。)…ありがとうございます。」

張宿は藍が小声で発した言葉を聞いてきょとんとしていた。

クラス3「佐倉さん、鬼宿様と知り合いなんですか〜!あんまり調子に乗らない方がいいですよ。」

藍「(だから。いちいち話掛けてくるなよ)中等からお世話になっていた先輩なんですよ。」
張宿「え?今の佐倉さん?」
クラス4「生徒会メンバーに話しかけるには資格がいるの知らないですか?」
クラス1「知らないでしょう!一般中等、出身なんですから。」
藍「(一般、一般って連呼すんな、ボケ)すいません。一般なので…皆さんが言っている意味が分らなくて…」
クラス3「鬼宿様もよくこんな子と話してましたよね〜、皆さん!」
藍「(うざいな、こいつ。)先輩、優しいので…」
張宿「え?え?え…」
クラス4「どうされたんですか、張宿さん。」
張宿「なんでもないです。」

ドアから先生が入ってきた。

先生「はい。皆さん。席について下さい!それでは…教科書を配りますので、順番に回して下さい。」

先生が教科書を配り始めた。
藍の周りには特殊体質の生徒ばかりであったため、分りやすいいじめが始まった。

クラス6「はい、佐倉さん。あ…」

教科書をわざと落とすクラス6。

クラス7「なにやってるの!佐倉さん!新品なんだから、落とさないで貰える?」

藍「(わざとやったんだろ。どこに目付けてんだよ。)すいません…」
クラス8「早く回して下さい、佐倉さん!」
藍「(あ、これか噂に聞いてた一般いじめか。)…すいません、はい。」
クラス8「佐倉さんが触ったので、汚くなってしまいましたわ」
藍「(いちいち、うざいな…こいつら…)すいません。」
張宿「あのーー、そんなに汚れたのであれば。僕の交換しますが…」
クラス7「張宿さんのと交換なんて…大丈夫です!」
張宿「でも…」
クラス8「佐倉さんのと交換して貰ったので大丈夫です。」
張宿「…、佐倉さん。ちゃんと言った方がいいですよ。」
藍「んなこと、分ってるよ。」
張宿「え?」
藍「あ…大丈夫です。張宿くん。」
張宿「そうですか。(え?今のって…)」
藍「(いってぇ…わざと蹴んな、ボケ!)いったぁ…」
クラス4「あら、当たってしまいましたわ…ごめんなさい〜」
藍「大丈夫です(大丈夫な訳ないだろ、ちゃんと謝れよ!)」
張宿「…大丈夫ですか?」
藍「この状況で大丈夫な訳ないだろう…」
張宿「え?(きょとんとする)」
藍「あ…」

藍はかなりイライラしていた。張宿の前だけ、つい本音が声に出てしまったのである。
そう、藍は二重人格者であった。外にいる時はおとなしい女の子を演じ。家では男勝りの女の子だった。
教科書も配り終え、その後先生が色々な話をした。
そして、お昼時間になり。午後からは部活決めの時間となった。
藍は、張宿を呼び出した。

藍「…張宿くん。」
張宿「なんですか。」
藍「さっきの聞いたよね?」
張宿「なんの事ですか?」
藍「いいよ…とぼけなくっても。あたしが油断して出た結果だし。」
張宿「え?なにが?」

尚もとぼける張宿。それが張宿の優しさでもあった。
その優しさにイライラしていた、藍。

藍「…はっきりしろって!」
張宿「は、はいい…聞きました!その…佐倉さんって…に、二重人格ってやつなんですか。」
藍「そうだよ。だから?みんな言う?」
張宿「えっと…その…」
藍「はっきり言えって!」
張宿「…えっと、あの〜。僕は…その〜」
藍「じゃあ、秘密な。」
張宿「え?秘密ですか?」
藍「そう。バラしたら…張宿くんがさっき間違えたこと喋っちゃうから!それでもいいなら…」
張宿「お、脅しですか?」
藍「脅しじゃないよ。本気だよ。」
張宿「…分りました。僕は…その、今のままの佐倉さんでもいいとは思うんですが…」
藍「あのさー、その、佐倉さんっての止めてくれる?藍でいいよ!」
張宿「では藍さんで。藍さんは…なんで、その〜おとなしい子を演じてるんですか?」
藍「は?そんなの決まってるじゃん!先生受けがいいからに決まってるでしょ?それに…」
張宿「それに?」
藍「好きな人がこの学園に居たからだよ!」
張宿「えーーー!誰ですか!鬼宿さんですか?」
藍「そんなの言わないよ。それに…鬼宿先輩はタイプじゃないし、金にセコいから無理!」
張宿「セコいって…たしかにそうですけど。」

そこへお昼へ向かう、鬼宿達が通りかかった。
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