純愛詩

□恋日記
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花巻すみれ、10歳の時に主人である柳宿に拾われた。以来ずっと柳宿のそばで付き人をやっている。柳宿に仕えてることが彼女の幸せであったので、恋すらしたことがなかった。そんな彼女も今年で17歳。
そんな中、柳宿の誕生日祭で恋をした。

柳宿「すみれー!!すみれはどこ?」
すみれ「ここにおります。」
柳宿「ねー、今日!あたしの誕生日祭にあの!星宿様が来て下さるんですって。」
すみれ「はい!」
柳宿「最後までお返事頂けなかったから今年も無理って思ってたから嬉しいわ。」
すみれ「…柳宿さま。」
柳宿「何着たらいいと思う?星宿様に釣り合うようにしなくてわ〜」
すみれ「柳宿様は、そのままでも充分釣り合うと思います。」
柳宿「……(目をうるうるさせて)」
すみれ「柳宿様?」
柳宿「もう。この子ったら!正直なんだから〜大好きよ、すみれ!」

柳宿はすみれに抱きつく。

すみれ「柳宿様。ありがとうございます。あの、そろそろ会場の準備をしてまいります。」
柳宿「あんなのほかのものにやらせればいいのよ!」
すみれ「ですが…私も柳宿様にお仕えするものです。」
柳宿「わかった。」
すみれ「では…失礼しま、」

すみれが退室しようとしたとき、柳宿が声をかけてきた。

柳宿「ねぇ、すみれ!あたし、今日の誕生日祭で決めるわ!だから…すみれも、いい人探しなさい。…二人で幸せになりましょう。」
すみれ「柳宿様…。私は柳宿様にお仕えできるだけで幸せなのでございます。」
柳宿「だめよ。あたしはすみれにも幸せになってほしいのよ!」
すみれ「ありがとうございます。そのお気持ちだけで私は幸せでございます。」

一礼してすみれは退室した。
部屋に残された柳宿。

柳宿「神様!すみれにも素敵な王子様が見つかりますように…」

パーティー会場へと着いたすみれ。
他のものと一緒に準備をしだした。
すると、窓をコツコツと叩く音が聞こえた。窓の方へ目をやると、翼宿がニコっと笑っていた。

すみれ「た、翼宿様!!!!」

窓へと近づくすみれ。そして窓を開ける。

翼宿「しーーー!!声がデカいわ。」
すみれ「(小声で)翼宿様。正門からお入りください。」

窓からひょいっと翼宿が入る。
翼宿は柳宿の許婚であった。許婚と言っても親同士が決めたこと。しかし、当の本人たちが会えば喧嘩ばかりしていた。

翼宿「すみれ、あいつどないしてる?」
すみれ「柳宿様ですか?お部屋で準備されていますが。」
翼宿「あー。今日やったな〜」
すみれ「行かれてたいかですか?」
翼宿「は?行ける訳ないやろー。」
すみれ「翼宿様は許婚なのですから…」
翼宿「アホー!あんな約束、親父達が決めたことやろ。」
すみれ「ですが…翼宿様は、」

すみれの口を押さえる。

翼宿「アホ!それ以上言うやな。」

口では嫌いと言ってるが、実は許婚を決めた日から翼宿は柳宿のことを好きである。
柳宿には伝わってないが。

翼宿「なー!さっき、門番が話しとったけど、星宿様も来るんやろ?」
すみれ「はい。気になりますか?」
翼宿「俺には関係ないことやし。」
すみれ「本当、素直じゃないんですね〜」
翼宿「なんやと!」
すみれ「…翼宿様も今日来られるんですよね?」
翼宿「おー。親父が行けってうっさいからな。」
すみれ「今年はなにあげられるんですか?」
翼宿「お前…。最近めっちゃあ突っ込むな。」
すみれ「そんなことないですよ。」
翼宿「あ〜〜!!!止め。止め。こんな話するためにここに来たんやないわ!」
すみれ「柳宿様に会いに来たんですよね〜」
翼宿「すみれ!!!」
すみれ「(笑いながら)申し訳ございません〜!翼宿様、そこの机を動かしたいのでお願いできませんか?」
翼宿「しゃーないな。」
すみれ「ありがとうございます。」

すみれは翼宿に机を運ぶのを手伝ってもらった。
すると、ドアの向こうから柳宿の声がした。

柳宿「すみれーー!ちょっと!」
すみれ「柳宿様。ここにおります。」
翼宿「わぁ!何で返事すんねん。柳宿が来てまうやろ。アホー!」

翼宿は慌てて窓の外に出て帰って行った。
翼宿が窓の外へと出た瞬間、柳宿がドアを開いて入ってきた。

すみれ「翼宿様、相変わらず反応がいいですね。」
柳宿「すみれ!まだそこに居たのね。」
すみれ「どうかされましたか?」
柳宿「ねー!この髪飾りどっちがいいと思う?すみれに決めてもらおうって思って…」
すみれ「どちらもよくお似合いだと思います。」
柳宿「もう。それじゃあ、決まらないでしょう!!」
すれみ「でしたら、星宿様の好きな色のこちらにしてはいかがでしょうか?」
柳宿「そうね〜。ありがとう、すみれ!」
すみれ「はい。柳宿様、あと一時間ぐらいで誕生日祭が始まりますので、お部屋でお茶でもいかがですか?」
柳宿「あ〜星宿様にどんな顔して会えばいいのかしら。」
すみれ「いつもどおりでいいと思います。」
柳宿「いつもどおりって…あたし、どんな顔してたかしら?」
すみれ「ふふふっ…」
柳宿「すみれ!…今、笑ってでしょう!あたしは真剣なのよ〜〜!」
すみれ「申し訳ございません。柳宿様の反応があまりにも可愛くって…」
柳宿「すみれーー!!待ちなさい!」

すれみは柳宿に追いかけられながら、柳宿の部屋へと走っていた。
部屋に戻り、すみれもドレスへと着替えた。
このドレスは柳宿からもらった大切なもの。

柳宿「すみれ、これも付けなさい。」
すみれ「そのような高価なもの…」
柳宿「いいのよ。あたしには腐るほどあるんだから、すみれもちょっとはおしゃれしたほ方がいいわ。」
すみれ「ありがとうございます。」
柳宿「いい。すみれ、いい男見つけるのよ。いい男は財力も力のうちなのよ!」
すみれ「はぁ。」
柳宿「あんたも可愛いんだから、その気になれば男なんてイチコロよ。」
すみれ「私は…」

執事が入ってきた。

執事「柳宿様、海堂様がお見えになりました。」
柳宿「わかった。いくわよ!すみれ。」
すみれ「はい。」

有名な資産家の家だけあって、柳宿の誕生日祭には大物ばかりの来客がほとんど。
柳宿とすみれは来客者へ挨拶を済ませた。
そして、ひと段落したところに星宿様が来た。星宿様は二人の付き人と共に会場へ。

星宿「あ〜。ありがとう」

荷物を預ける、星宿。

柳宿「星宿様っ!」
星宿「柳宿。本日はお招きありがとう。」

星宿は柳宿の手を取り、キスをした。

星宿「柳宿、誕生日おめでとう。」
柳宿「ほ、星宿さまぁぁぁああ!!」
すみれ「柳宿様、落ち着いてくださいまし。」
柳宿「星宿様、本日は来てくださり、この柳宿!嬉しいでございます。」
星宿「…相変わらず大げさだな。」
柳宿「あの、星宿様そちらは…」

星宿の付き人と会うのが始めてな、柳宿。

星宿「ああ。そうか、柳宿も初めてだったな。私の付き人で(左側)鬼宿と(右側)井宿だ。」

星宿の付き人鬼宿は、ひざを付き柳宿の手をとり、キスをした。

鬼宿「柳宿様。噂以上のお美しい方だ。鬼宿です。お誕生日おめでとうございます。」

星宿の付き人井宿も同様に、ひざを付き柳宿の手をとり、キスをした。

井宿「お目にかかれて光栄です、柳宿様。お誕生日おめでとうございます。」
柳宿「ありがとう、ですわ。ご紹介がおくれました、私の付き人のすみれですわ。」
すみれ「星宿様、本日はお越し頂きありがとうございます。(おじぎをして)鬼宿様、井宿様もどうぞ、ごゆっくりなさって下さい。」
柳宿「星宿様、こちらへ〜」
星宿「ああ。」

星宿は付き人2人を連れて柳宿と一緒に奥絵へと進んで行った。
それを見ていた、翼宿が隠れた場所から出てくる。

翼宿「なんやーあれ。星宿様ともなると付き人二人やんやな。さすが、国を代表する人やな。」
すみれ「翼宿様!急に出てこないで下さいよ。」
翼宿「柳宿のやつ。顔が崩れとったで!だらしないわ。」
すみれ「嬉しいんですよ、柳宿様は。」
翼宿「それになんやねん。あの二人は…俺すら、柳宿の手にキキキキ、キスなんかしたことないってのに〜〜」
すみれ「怒る場所はそこではにないような〜」
翼宿「うっさいわ。」
すみれ「翼宿様も、柳宿様に挨拶されては…。」
翼宿「俺はええわ。」
すみれ「一言でも…。」
翼宿「俺なんかが言ってもあいつはよろこばへんって。」
すみれ「そんなことないです。」
翼宿「(すみれの頭をぽんぽんして)すみれは、俺にも優しいな。ありがとうな。」
すみれ「いえ。そんな…」
翼宿「ほな。俺は食事してくるわ。すみれ、今日ぐらい自由にしてもいいんじゃないか。」
すみれ「私は柳宿様が笑顔ならそれでいいんです。」
翼宿「まぁ。お前も楽しめやぁ。そしたら、柳宿も喜ぶと思うわー!」
すみれ「翼宿様…。」
翼宿「ほな。」

すみれは相変わらず、裏方業務。
酔っ払った客人がすみれに絡む。

客人「ひっく(酔ってる)ねえちゃん、ちょっと俺の相手しぃへん?」
すみれ「大丈夫ですか、松本様。」
客人「お〜!大丈夫やぁ…大丈夫だけど、大丈夫じゃないかも。」

酔っ払った客人がすみれの腰へと手を回した。

すみれ「きゃぁ…(今、おしり触られた?!)」
客人「ひっく。俺の看病してやぁ〜ねえちゃぁあん。」
すみれ「松本様っ…」

もう一度、触られようとした瞬間。
だれかがすみれを助けた。

井宿「いい大人がみっともないのだ。」
客人「なんやとー!」
すみれ「止めてください。」
井宿「彼女は嫌がってるのだ。」
客人「お前!誰に向かって言ってるかわかってるか…」

客人が手をあげて殴りかかろうとした瞬間、客人はその場に倒れてしまった。
なにが起こったかわからない、すみれ。
呆然とするすみれに、やさしい言葉をかける井宿。

井宿「まったく。困った人なのだ。もう、大丈夫だよ。」
すみれ「え?あ…松本様は…」
井宿「気絶してるだけなのだ。君、嫌なときはちゃんと言わなきゃいけないのだ。なにされるかわかっていたのか。」
すみれ「あ…。しかし、柳宿様の大事なお客様ですから。あ、、あの…助けていただき、ありがとうございます。えっと…」
井宿「井宿なのだ。」
すみれ「井宿様、ありがとうございます。」
井宿「君は楽しまないのか?」
すみれ「私はいいのです。」
井宿「君が楽しんでないと、オイラがつまらないのだ。」
すみれ「え?」
鬼宿「おーい!井宿!こんなとこに居たのかよ。って…その子、お前…」
すみれ「え?」
井宿「なんでもないのだ。いくぞ、鬼宿。」
すみれ「井宿様…」
鬼宿「いいのかよ!せっかくの…」
井宿「それは秘密なのだ。次は気をつけるのだよ。」
すみれ「はい。」

鬼宿と井宿は星宿様の元へと去っていった。
井宿の言葉が気になってしょうがない、すみれ。ちょっと顔も真っ赤になっていた。
その時、すみれの元へと駆け寄ってくる柳宿。
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