戦国BASARA
□ただあなたに逢いたい
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冬の奥州は当然の如く寒い。
「小十郎…寒い」
「毎年のことではありませんか。」
「shit…寒いったら寒いんだよ。」
「寒いと言うから余計寒いんです。…というか、そんなこと言ってまた政務を怠るおつもりで?」
「《ぎくっ》No、そんなんじゃ…」
「でしたらつべこべ言わず筆をすすめてください。」
「……幸村…」
「……」
「幸村に逢いt「いけません。」
ピシャリと言い放つ小十郎。
「なんでだよ!」
「政宗様…ご自身のいま置かれている立場を分かって下さい」
「Ah?」
幸村が政宗の城に来たのはつい一週間ほど前。
その前もずっと幸村に逢いたいだの逢いに行くだの文書いたから届けさせろだのと、このオトm…じゃなくて殿様は政務をまったくせずに恋焦がれる相手を想いまくっていた。
ーー恋は盲目ーーとはまさにこれ。
しかしそろそろ本気で政務をしなければヤバいんです。
「小十郎は悲しいです!真田に出会う前の貴方様は、それはそれは奥州優先でお考えになる素晴らしき主だったのに…!!」
「な、なんだよ!今の俺は素晴らしくないってのか!?」
「少なくとも政務をしない一国の主は居ないと思います。」
「っ…じゃあ小十郎はあの忍と逢えなくてもいいってんだな?!」
「別に。俺は猿飛に逢いたいなど(政宗様ほど)思ったことはありません。」
そう言うと、ガタッと屋根裏から物音がした。
「誰だ!!」
小十郎が素早く愛刀を手にし、構えると…
顔を出したのはなんと佐助…。