君の手を引いて走れ!

□始動編
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カレンダーに丸をつけているのを見つけた。そういえば私が書いたんだっけ、と思ってそれを手でなぞる。「もう4歳か、早いなぁ」なんて思いながらリビングの電気を消して自分の部屋に戻る。


気付けば、明日は弟の4回目の誕生日だった。



23

次の日は、弟とおもちゃ屋さんに来ていた。幼いのだから欲しいものはたくさんあるだろうと思って連れてきてみた。着くと久しぶりに来たのではしゃいでいるのが目に見えて分かる。


少し微笑ましく思って私はぬいぐるみのコーナーを物色していた。やはり男の子だしヒーロー物の何かの方が喜ぶのだろうか。方向転換してコーナーを移動しようとしたら、見知った顔がそこにあった。


「――豪炎寺くん?」

「みょうじか」

「こんなとこで会うなんて珍しいね」


可愛いぬいぐるみを抱いた豪炎寺くんにほっこりとする。プレゼント用なのだろうか。私の視線に気付いたようで「妹にやるんだ」と言ってくれた。


「豪炎寺くんに似合うね!」

「…冗談はよしてくれ」

「割と本気なのに」


私がからかうように笑うと豪炎寺くんは少し笑ってから、困ったような顔をした。どうしたのだろうと顔を覗き込むようにすると、ゆっくりと口を開いた。


「暫く帰って来れそうにないんだ、だから妹に俺の代わりにと思って」

「…宇宙人の事?」

「テレビ見たのか、」


くまの大きなぬいぐるみをぎゅっと抱きしめる豪炎寺くんは可愛いなと思って、私はくまを撫でた。優しく撫でると豪炎寺くんは驚いた顔をしていた。


「皆行くんだよね、地球を守るヒーローみたいだ」

「――それは違うな」


それはどういうことだろうか。「え?」と聞き返して視線をくまから豪炎寺くんに戻した。


「俺もアイツ等も、ただ楽しくサッカーがしたいだけなんだ」

「楽しく、サッカーを…」


撫でている手を止めて少し力を込めて握った。前みたいに、皆でサッカーをやりたい。それが宇宙人という未知との戦いの理由でもいいのだろうか。少し考えたが、サッカー部がかなりのサッカー馬鹿の集まりだったことを思い出して苦笑いする。


「そっか、皆らしいや」


豪炎寺くんはこれから妹さんにプレゼントしに行くようで、抱えたまま店を出て行った。私はそれを見ながら、弟の誕生日プレゼントをまだ決めていないということに気付いてしまった。


去年はサッカーボールだったしその前もサッカーボールだった。…まぁ今年もサッカーボールでいいか。毎年誕生日に与えては、1年でボロボロになっていくサッカーボールは見てて気持ちが良かった。


















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