君の手を引いて走れ!

□特訓編
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吹雪士郎くんと染岡くんがタイマンを張っている最中、足元を見ると可愛い可愛いリスさんがいた。流石北海道だなぁと思っているとそのリスさんはグランドの中央に駆けて行ったではないか。


丁度吹雪士郎くんが打とうとしていたようだったが、そのリスさんを見て小さく舌打ちをしていた。吹雪士郎くんはシュートを打たず、そのままボールは染岡くんに渡った。なんだか今の状況は動物愛護保護団体が喜びそうだ。



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染岡くんが結果的には勝ったので皆して染岡くんに駆け寄る。私も駆け寄りたかったのだがちょっとスパイクの靴紐が緩んだので結び直していた。


ちらりと吹雪士郎くんを見ると穏やかな彼に戻っていて少し安心した。そのまま靴紐を結ぶことに集中するが、中々これは難しい。どしても縦結びになってしまう靴紐と格闘していると円堂くんが「待ってたぜエイリア学園!勝負だ!」と言っているのが聞こえて急いで顔を上げる。


この乗り過ごした感は半端ないが私も急いで空を見上げる雷門イレブンに駆け寄る。空はいつの間にか真っ暗になっていて雪と空とで白黒の世界になっていた。少し不安はあるが今の彼等にはエースストライカーという大きな存在がいるのできっと今回は大丈夫だと信じたい。


そろそろ試合が始まるだろうか。不安になっている紺子ちゃんの肩に手を置いて励ましてから、当たり前のようにベンチに座って(もう諦めた)皆に声を掛ける。


瞳子監督は私を導入する気配がないので、今回も仕方がないなと思っていると「みょうじさんも準備しておいて」と言われてテンションが上がる。


今回の作戦はDFラインを固めると言うものだった。失点は許されない堅い守りを指示した瞳子監督に選手達は不信感を持つ。鬼道くんの分析みたいなうんちくでなんとか納得したみたいだが。監督はいつも詳しく説明しないで指示をするので皆して戸惑いがあるのだろう。


「エイリア学園を倒すぞ!」

「オオー!!」


ベンチから大きく手を上げれば目立つ目立つ。恥ずかしくなって秋ちゃんにくっつくと苦笑いをされた。テレビで中継もするようで変な行動はできないなと気を引き締める。


「――皆、風になろう」

「ああ、皆ファイトだ!」


吹雪士郎くんの「風になろう」の次に、円堂くんが皆に大きな声で声を掛けると試合開始のホイッスルが鳴った。これで終わりにしたい、そう思ってジャージを強く握った。











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