シリーズ

□正しい君の抱きしめ方
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「いらっしゃ…あ、ヒロトくん」

「お疲れ様です、なまえさん」

「…ヒロト、知り合いか?」

「ちょっとね」

「ふーん、ま、早く決めようぜ」



コールは3回まで



赤髪のヒロトくんがご来店だ。その後ろにはヒロトくんより少し暗い赤髪と色素が薄い髪のこれまたイケメンがくっついている。


イケメンの友達はイケメンって本当だったのか。都市伝説かと思った。


「やはり夏はアイスだな」

「お前、買いすぎじゃねぇの」

「うるさいぞ。普通だ、普通」


3人の来店によって店内が少し賑やかになった。ヒロトくんは「騒がしくてすみません」と言っていたけれど、この時間に1人って結構淋しいからこれは嬉しいことだ。


お友達2人がなにやら揉めている最中、ヒロトくんはもう買うものを決めたらしく2人に催促していた。


名前を聞かれてからまだ少ししか経っていないが、私とヒロトくんは仲良くなった。(と思う)こうやってレジ越しに良く話すようになって、ヒロトくんの部活のこととか、学校のことが聞けて私も学生時代に戻ったような気持ちになった。


なんかうっすらと彼を見たことある気がすると思ってたら、どうも中学生時代はサッカーの日本代表だったらしい。ってことはサッカーめちゃめちゃ上手じゃない?


「1205円です」

「2000円からお願いします」

「はい」


ヒロトくんからお札を受け取ると、少しザラついた紙が挟まっていた。なんだろうと思ってそれを見ると数字と英語が入り混じった…顔を上げると意地悪そうな顔のヒロトくん。


「内緒」


彼は、横目で雑誌のコーナーでまた揉めているお友達2人をちらりと見ると、人差し指を薄い唇に当てて笑った。


私はこの前ヒロトくんがバイトの子から連絡先や名前を聞かれて、曖昧に流して答えていなかったのを知っている。


悪い子だなあ。


「ありがとうございました」


そう言って軽く頭を下げた私のポケットの中にはヒロトくんのメールアドレスが書いた紙が綺麗に畳まれて入っていた。








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