シリーズ

□正しい君の抱きしめ方
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「これ、お願いしますー」

「はーい」


町内会の人から受け取ったチラシを掲示板に貼る。大きく花火大会と書かれたそれはなんだか私をわくわくさせた。



月が出てから返信


「もうこんな時期かー」

「ですねー」


新しく入ったバイトの子と休憩室で飲み物片手に雑談をする。バイトの半田くん、彼も雷門高校らしい。ちょっと勝手に親近感。


「半田くんは彼女と行くの?」

「か、彼女なんて…!」

「好きな子かぁ!」

「やめてくださいよー!」


赤くして少し起こったようにしている半田くんにふふ、と笑う。そうそう、やっぱり学生はこうじゃないと。


青春だなあなんて思っていると「みょうじさんはどうするんすか」と逆に聞かれてしまった。うーん、どうしよう。


「去年は友達と行ったんだけどね、今年は無理そうだし…」

「それこそ好きな人誘えばいいじゃないっすか」

「すすすす好きな人!?」


「いないよ!」と全力で否定すれば半田くんは何やらニヤニヤとこっちを見ている。だって私彼氏とかできたことないよ?マジで。


「んじゃあ気になってる人っすね」

「半田くんもね…」


気になっている人、そう言われて思い浮かぶ人も中々いない。そういえば最近男の人と連絡をあまり取らなくなったなあ。最近はずっと…。


頭の中を赤髪が過ぎった。首を振ってそれを消し去る。彼は私より3つも下じゃないか。


半田くんと交代して自分の私服に着替えた。帰る準備をして外に出ると生ぬるい風が当たって少し嫌な感じがした。


携帯で時間を確認しようとすると画面には新着メールの通知が。何の気無しに開くとそれはヒロトくんからだった。


「なんだろ…」


件名は無し、いつも通りの飾りのないメールの本文を読んで思わず私は携帯を落としそうになった。


これは、少しドキドキしてしまってもいいだろうか。


(花火大会、もしよかったら一緒に行きませんか)







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