「そこのネーちゃん、だんご5つね」
いつものように営業スマイルでお客さんの接待をしていると後ろから聞きなれた声が聞こえてきた。
「銀さん?」
「…最近ここの団子屋に美人な仔が入ったって聞いたからわざわざ来たらコレか…」
そう言いながら私が差し出したお茶をすする。
「それ私に失礼ですよ」
「おう。わざとだからな」
私はフンッと拗ねたようにそう言って団子の注文を言いに奥に行く。
(相変わらずちっとも優しくないなぁー…)
チラッと後ろをみるとケラケラ笑ってる様子が見えたのでまた落ち込む
これでも一応努力はしているつもりだ。
美人な人がタイプだったらなるべる髪を伸ばしたりメイクを頑張ったりしている。
白い肌の人が好きと聞けばエステに通ったりもした。
(やっぱりこういうのタイプじゃないのかな…)
「銀さん。はい、お団子ですよ」
「おーサンキュー」
銀さんは3本一気に口に放り込む。見るだけで甘ったるい団子を一気に食べることが出来るなんて流石だと思う。
「あ、お茶もう一杯持ってきますね」
私はそろそろ喉に詰まらせる頃だろうと思ってまた裏へ下がろうとした。
すると、中で団子を食べていた酔っ払いのような人たちが私に絡んできた。
「ネーちゃん後で俺等と遊びに行こうや」
いきなりだったので対処が遅れて手首を掴まれてしまった。
(…どうしよう…)
「俺等楽しいとこ仰山知ってるぜ」
「ピンクのホテルとか、なぁ!!」
男達の方に引き込まれそうになった時、誰かが男の手を払った。
「お前等、その汚ねェ手を離せよ」
「ぎ、銀…さん…」
私が顔を上げると、そこには銀さんの背中があった。
ここからじゃ顔は確認出来ないけども、とても怒っているように思えた。
男達は迫力負けしたらしく、代金を置いて店を出てった。
「…あの……」
「お前さァ、少しは自覚持ったらどうなの?」
「え?」
私は言っている意味が分からなく首をかしげる。
それを見ると、銀さんはため息をついて私の額にデコピンをした。
「いっ…!」
「最近余計に色っぽくなったから変な虫が付いて銀さんあんまりいい気分じゃないんだよねぇ」
「…いろ…っ!…えぇ!!!」
「だから、オシャレはほどほどに、な」
(あれ、ということは銀さんは私が変わったの気付いてくれてたんだ…)
(でも…色っぽくって…ええぇ?)
銀さんは状況が把握出来ていない私を置いて、先に店を出てってしまった。
いつも貴方は私の先を歩く (なんで貴方は)(私に考える時間もくれないの)
(そんなとこも好きだけど)