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□君が僕を嫌いな理由
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同じクラスで隣の席のアイツは俺を嫌っているんじゃないかと最近思い始めた。




何故なら、いつも俺を睨んでいるし、教科書すら見せて貰えない。さらに、俺が話しかけるとすぐどこかに行ってしまう。


アイツと同じクラスになってからずっと嫌われてる気がする。


 同じクラスにはなったことないし、俺はアイツのことを今年に入って初めて知った。

 なので何かした…ってわけじゃない…と、思う。




(それは、あくまでも『思う』ってだけだから俺が知らない間に何かした可能性も十分ありえる)



 昼休み、いつものようにアイツが席を立ったので、俺も追いかけるように教室を出た。


 友達の所へ行くのだろうと最初は思っていたけれど、仁王なんかに話を聞くとそうではないらしい。


(何度かお昼に誘おうかと思ったが、男女2人でお昼を食べてる奴なんかデキてる奴ばっかりで、誘えずにいる)
(もちろんアイツを好きなわけではない)(否、気になってはいる)




裏庭に続く渡り廊下のところで目の前にアイツの後ろ姿が見えた。俺はその背中に向かって声を出す。



「なぁ」

「!?」



 
 びっくりしたようで、ゆっくりとこちらを向いた。


俺はやっと話が出来ると思いホッと胸をなでおろす。ここでアイツのとこまで走っていって腕でも掴めたらこの後どんなに楽かこのときの俺に言ってやりたい。




 このときずいぶん気を抜いていたのだろう。アイツは俺と目が合うと逃げるように走り去った。




「えぇっ!?ちょっ!」


そのおかげで気づくのに数秒遅れてしまった。


 だが、俺は伊達に毎日武者修行のごとく部活はしていない。それを知っててアイツは逃げたのかどうかは俺には分からない。

(まずはアイツを捕まえなければ)




 




 俺は一気に駆け出した。


俺は何度でもお前を追いかける。






 数秒後、俺に腕をつかまれたのは、真っ赤な顔したアイツ。
 

「…そんなに走るの疲れたのか?」

俺が問うと首を横に振る。



(ちょっと)(これは)
  (マズイんじゃない?)

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