「臨也、離して」
「嫌」
仕事はどうしたんだろうか。
日中はめったに此処(レンタルビデオショップ)に来ないのに。
臨也の私を抱きしめる腕の力は、弱まるどころかまた一層増す。
「…苦しい…臨也」
ささやかに抵抗してみるが、成人の男の力には到底敵わない。そろそろ臓器もつぶれそうである。
いつもはあんなに刃物にばっかり頼ってるのに一体どこにこんな力があったのだろうかと疑問に思う。
「君、シズちゃんと仲良いんだ?」
「…まぁ、普通にね」
私が答えるとまた、力を強くする。
「…っちょ…」
「気に入らないなぁ…そういうの」
臨也はこれでも頑張って平常心を保っているようにも思える。だって私を腕の中で潰さないから。
(一線は)(越えないのね)
「何、臨也は私にどうして欲しいの」
問うと抱きしめることをやめて、私の肩を掴んで臨也は笑う。
「…分かってる癖に」
そして堕ちていく。 (今日も)(君に依存する)
私たちの関係は依存症B。